構造検索システムの利用法
   構造検索システムにアクセスすると、JChemアプレットが利用者のブラウザーのJava環境に配信され、ブラウザーには図aに示す部分構造検索のための構造入力画面が表示される。ただし現時点では利用できるブラウザーに制約があり、Java1.2以上が動作するWindowsOS上のInternet Explorerのみが対応する。
  この入力画面に正確な全構造式や部分的な構造式を入力することで、SQLサーバ内の構造データが検索され、その結果が三次元構造を表示した画面として返される。
 図1と2にはJChemが提供する構造入力画面と、こうした部分構造から得られた検索結果を示す。
   
   
図1 「substructure」検索によるジフェニルメタン骨格を有する部分構造の抽出
     
   
   
図2 「substructure」検索の結果
   
  検索のための項目
   初期画面のメニューから「Query」ボタンを選択すると、平面構造式を描画するための各種のツールを備えたウインドウ(図1)が表示される。この画面には構造描画ツールのほか、分子量(Molweight)や分子式(Formula)、一般名(英名)(name)を用いた検索のためのウインドウも用意され、各項目を単独で、あるいはAND検索として用いることができる。これらの項目の検索には<、 <= 、 =、 =>、 >などの符号を用いて抽出される範囲を指定することができる。
   
  一般名などのテキスト情報による検索
     分子量を用いてデータベース中の医薬品を検索することができる。「Molweight」と「<= 」を選択してから分子量を入力すると、その分子量以下の医薬品が抽出できる。
一般名(英名)を用いても構造の検索が可能である。例えば特定の医薬品名を「name」と「=」で検索するか、医薬品名称の先頭の文字列について「name」と「>=」を用いて部分的に検索するかを選ぶことができる。
 各医薬品構造には既に一般名(英名)が付加されているが、今後はIUPAC名やCAS登録番号など階層型データベースに収載された一般情報を補強していく予定である。また各医薬品の薬効と薬理の情報をコード化してデータベース中に格納し、薬効や薬理の情報から医薬品構造を検索する仕組みも現在作成中である。
   
  平面構造式の入力による検索
     検索条件には医薬品の全構造の検索のほか、部分的な一部の共通構造をもつ医薬品を検索することができる。また、検索する分子を比較する時の値として、しきい値( Similarity threshold 、0.4 - 0.99 )を設定することができる。
 この検索方法では「Search type」として「Exact」、「Substructure」、あるいは「Similarity」のいずれかを選択し、描画ウインドウに平面構造式を入力して「Search」を選択して検索を行う。「Exact」は完全一致の検索を、「Substructure」は部分的な構造による検索を行う
 「Similarity」は構造類似性に基づく検索を行い、入力された検索対象の構造とデータベース内の医薬品構造をしきい値(Similarity threshold)の設定に応じて比較しながら抽出する。しきい値は0.4 - 0.99の範囲で指定でき、数値が1に近づくほど類似比較の幅が狭まり,類似性の絞られた抽出が行われる。
 「Similarity」検索としてhomatropine hydrobromideを遊離型のアミンとして入力して検索すると、しきい値が最大値の0.99では自分自身だけが抽出され、このしきい値を小さくするごとに類似構造が抽出されてくる。0.90では2個、0.80では10個、0.70では20個、0.60では42個といった具合である。homatropineを基にしきい値を0.80として10個の医薬品を検索した場合、一番似ていない化合物はpipethanate ethobromideであった。
   
  検索構造に含まれる原子を指定する
     原子を[]内に [Cl,Br]のよう複数指定すると、指定した何れかの原子を含む原子団を検索することができる。こうした検索部位の作成にはツールメニューの「More」を用いて周期律表を表示させ、テキスト入力ウィンドウに原子団を指定する(図3)。
次いで指定した文字列を「SMARTS」ボタンをクリックして描画ウインドウに貼り付ける。
   
   
図3 More メニュー
   
  検索構造に含めない原子を指定する
     原子を [!Cl!Br]と指定すれば、 [ ]内の原子を含まない構造を検索することができる。
   
  官能基などの一般指定
     水素以外のすべての原子を指定したい場合は図3に示す周期律表から官能基として「Any」を選択する。また,炭素と水素以外のヘテロ原子全てを指定する場合は「Q」を用いて平面構造を作成する。
   
  原子価に基づく結合特性を指定する
    以下のコマンドを指定することで、結合特性を指定することができる。
   
a 芳香族結合 X<n> 原子の結合数
A 脂肪族結合 H<n> 水素置換の数
v<n> 原子価または総結合数 R<n> 環の数
r<n> 最も小さい環員数    
     
    原子価に基づく結合特性を指定した例を以下に示す。
   
[C;A]-O 芳香族炭素に結合する酸素を有する構造
[C;a]-O 脂肪族炭素に結合する酸素 を有する構造
[C;H2]-O 水素置換数にして2の炭素に結合する酸素 を有する構造
[O;X2] 酸素が2つの結合を持つ構造
[C;r5] 炭素の最小環員数が5の構造
[*;R2] 何れかの原子の環構造が2つ を有する構造
[*;X3R0]-      [C;a] 環構造を持たない3価の何れかの原子に結合した芳香族炭素

 


   
 

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