【4.16】「モルヒネとの併用を避けるべき薬剤(相互作用)」
  【4.16】:1
 モルヒネには、他の薬剤との間に薬理学的に厳密な意味での相互作用は少ない。少なくともモルヒネの使用を禁忌とするような相互作用はない。
 しかし、併用を避けるべき薬剤としてオピオイド・アンタゴニストがある。その代表的薬剤であるレペタンは、癌性疼痛であっても鎮痛薬を使い始めた頃はこれだけで十分な効果を示すことが多い。しかし数回繰り返して使ううちに、鎮痛効果が不十分となり、追加してモルヒネを使うことがある。一般的な使用順序としてはこれでよいが、レペタン投与後短時間でモルヒネを投与した場合は、拮抗剤であるためモルヒネとしての効果が投与量の割に減弱される。したがって、モルヒネの初回投与量が本来は適当であったとしても、レペタン投与の直後であった場合、十分な効果を現さない。
 レペタンは投与後の血中濃度が6〜8時間持続するので、モルヒネの投与はこれくらいの間隔をおいて開始するのが望ましい。
 一方、モルヒネの使用中に、始めは十分に効いていたものが癌の進行にともなって鎮痛効果が不十分になったときに、モルヒネ投与後の時間が短すぎて、次回のモルヒネ投与には早すぎるとのためらいから、モルヒネの代わりにレペタンを投与する医師がいる。しかし、これは誤った選択であり、併用は避けるべきである。このような場合には、追加投与する鎮痛薬はモルヒネを選ぶべきであり、その追加量は直前のモルヒネ投与量の約30〜50%が適当である。
,臨床と薬物治療(1990),,58,76

 
【4.16】:2
 モルヒネの投与を受けている患者にレペタンを投与すると競合的に拮抗してモルヒネの作用を減弱する。長期にわたってモルヒネの大量投与を受けている患者では退薬症状を生じる可能性もあり禁忌である。逆にレペタンからモルヒネへの切り替えにはこのようなリスクはない。
,痛み治療マニュアル(1993),,,63

 
【4.16】:3
 ソセゴンもオピオイド.アンタゴニストで軽度の癌性疼痛に対して用いられることがあるが、作用時間が短く、耐薬性が生じ易く、副作用としての精神症状が出現し易い。モルヒネとの併用はレペタン同様避けた方がよい。
,臨床と薬物治療(1990),,58,76

 
【4.16】:4
 ソセゴンは理論的にはモルヒネと禁忌だが実際には臨床上問題ないため緊急時には使って良い。ただし作用時間や精神症状の問題があり、基本はあくまでモルヒネなので緊急時のみの使用とすべきである。
,臨床と薬物治療(1990),,58,110

 
【4.16】:5
 モルヒネとソセゴン、スタドールの併用。ソセゴンは鎮痛作用時間が短いこと、数回使用しただけでも爽快感や多幸感などの精神症状を生じる傾向があるため、癌疼痛治療には適さず併用は勧められない。スタドールも同様に精神症状を生じる可能性があるため、癌疼痛治療には不適と考えられ、併用も勧められない。
,モルヒネによるがん疼痛緩和(1997),,,218
,「モルヒネによるがん疼痛緩和」改訂版(2001),,,229

#1
【4.16】:6
 健常人10名を対象として、リファンピシンの併用がモルヒネの鎮痛効果に及ぼす影響について検討した結果では、リファンピシン600mg/日を13日間経口投与後には、モルヒネのAUCは27.7±19.3%減少し最高血中濃度も40.7±27.1%低下しており、あわせて行われた疼痛の閾値に関する検討でも、モルヒネの鎮痛効果が全く認められなかった。現在のところ、各種モルヒネ製剤ならびにリファンピシン製剤の添付文書には、両者の相互作用についての記載はないが、モルヒネ投与中の患者にリファンピシンを併用するとモルヒネの鎮痛効果が減弱ないし消失する可能性がある。逆に、リファンピシン投与中の患者にモルヒネを用いると大量投与を必要とする可能性が考えられる。
,「モルヒネによるがん疼痛緩和」改訂版(2001),,,207
   
 

 

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