【4.2】「モルヒネの副作用としての便秘」
  【4.2】:1
 モルヒネを長期反復投与する限り、ほとんど全例に便秘が起こる。その治療にはプルセニド(2錠から3→4→6→8→10錠/日)が最もよく使用される。ラキソベロン(10滴から15→20→25→30滴/日)もよく用いられる。酸化マグネシウム(1.5〜3g/日、2〜3分服)はよい補助的効果をあげる。どの緩下剤にも必要投与量に大きな個人差があるため、平常通りの便通の確保に必要な投与量を用いなければならない。
,臨床と薬物治療(1990),,58,43

 
【4.2】:2
 モルヒネによる便秘には耐性が出来ないのでモルヒネの服用中は緩下剤を必ず併用する。
,臨床と薬物治療(1990),,58,43

 
【4.2】:3
 麻薬性鎮痛薬の投与に伴い出現する便秘には予防的な下剤の投与が必要となる。緩下剤は同じ作用の薬剤を多く投与するより、軟便剤と蠕動刺激剤を併用するなど作用の異なる薬剤を併用する方が効果的である。
,痛みの薬物療法(1990),,,199

#1
【4.2】:4
 モルヒネによる便秘に対し、プルゼニドは1日量として1〜2錠ずつ増量していき、1回量が多くなったら2〜3回に分けて服用する。ラキソベロンは5滴くらいずつ増量していく。いずれの薬剤も、常用量とは関係なく排便が得られるまで使用量を増やすことを心がける。緩下薬を2〜3日続けて増量しても排便がみられない場合、ビサコジル坐剤や浣腸を使用する。緩下薬投与中に下痢になった場合は緩下薬を中止し、普通便になってから下痢になる前の量に戻して再開する。硬便や宿便があれば適時摘便を行い、ビサコジル坐剤や浣腸を使って排便を促進させる。
,緩和ケアテキスト(2002),,,51

#1
【4.2】:5
 モルヒネによる便秘に対し、ほとんどの患者で「大腸刺激性下剤」+「浸透圧性下剤」の併用により、良好なコントロールが得られている。この併用により便秘が改善しない場合には、同一の作用機序を有する下剤、例えば大腸刺激性下剤であっても、センノシド(プルゼニド)からピコスルファート(ラキソベロン)に変更(あるいはこの逆のパターン)することで良好な便通が得られる場合もあるので、同一作用機序のいくつかの下剤を試してみることも必要である。また、便通はあるものの排便後に爽快感が得られない患者に大柴胡湯7.5g/日を併用し、排便はより順調になり、爽快感が得られた症例も報告されている。
,「モルヒネによるがん疼痛緩和」改訂版(2001),,,270

#1
【4.2】:6
 モルヒネの副作用としての便秘の治療に有効な薬剤がいくつかある。クエン酸モサプリド(ガスモチン)【適応外】はセロトニン(5HT4)受客体のアゴニストで、胃から結腸まで広範囲の消化管蠕動を亢進させる。蠕動亢進よる腹痛が少なく、刺激性下剤と膨張性下剤を併用しても便秘が改善しない場合に追加投与すると有用である。
,わかるできるがんの症状マネジメントU(2001),,,66

*5
【4.2】:7
 食事摂取が1〜2割でもできている状態であれば、緩下剤の内服は続ける。腹部膨満感があれば浣腸も行う。浣腸により排ガスを促すことにもなり、腹部膨満感の緩和になる。少しでも排便があり、排ガスがあることで、経口摂取が可能になる。ほとんど経口摂取ができていない状態においても、少量ずつ摂取されていれば、便として大腸内に貯留してくる。これが長時間大腸内にとどまっていれば宿便となり、便秘の状態となる。ほとんど食事をとっていなかった患者が死亡数日前になり、多量の便を失禁するという状態をみても、排便を促す処置は必要であるといえる。
,ターミナルケア6月増刊号(1999),9,,84

*5
【4.2】:8
 経口摂取や経管栄養が行われていなくても便秘は生じうる。
,緩和ケアハンドブック(1999),,,141

#1
【4.2】:9
 患者に便秘の定義を説明してもわからないケースが多い。排便回数を画一的に1日1回で調整するのは困難なケースも少なくない。自分が便秘なのか判断できない患者には、次のように説明している。
「”排便時に痛みがある”場合を“便秘”と思ってください。」
痛みがある患者では、排便時に「りきむ」ことで痛みが増強するため、「りきまない]で排便できる固さに下剤を調節するように説明することが大切である。具体的には、次のように説明している。
「1日に1回便通があっても、排便時に痛みがあれば便秘です。逆に3〜4日に1回しか便通がなくても、痛みがなければ、便秘ではありませんから、安心してください」
,「モルヒネによるがん疼痛緩和」改訂版(2001),,,271

 
【4.2】:10
 便秘管理の目標で、大切なのは排便回数(排便間隔)よりも便の性状が兎糞状であるかどうかという点と、排便に困難を感じたり残便感や腹部膨満感などの症状を認めるかどうかという点である。これらの症状があれば、排便誘導を積極的に行い、症状がなければ24〜48時間のうちに排便をみればよいと考えるのが妥当な考えであろう。
,ターミナルケア(1995),7,1,11

 
【4.2】:11
 緩下剤の使用法。センナ製剤は2日間便通がなければ増量する。セノコット0.7gはプルセニド1錠分に相当する。
,終末期医療(1991),,0,26

*5
【4.2】:12
 癌患者の便秘に対してセンノサイドの場合は1回12〜24mgを就寝前内服。高度の便秘には1回96mgまで増量。
,最新緩和医療学(1999),,,105

 
【4.2】:13
 モルヒネの副作用としての便秘に対するラキソベロンの使用法。
就寝前10滴を開始量とし、下痢を生じたら5滴に減量、2日たっても便通がなければ15滴に増量。以降も便通が不十分なら20−40−60−80滴と増量する。
,モルヒネによるがん疼痛緩和(1997),,,109
,「モルヒネによるがん疼痛緩和」改訂版(2001),,,113

 
【4.2】:14
 カサンスラノール製剤の最大量投与も無効なら、投与量を半減し、浸透圧性緩下剤(小腸洗浄薬)たとえばラクツロースシロップ【適応外】30mL 1日3回を加える。また、カサンスラノール製剤で疝痛を生じるときは、ラクツロースシロップ20mL〜40mLの1日1〜3回投与に代える。ラクツロースは、大腸刺激症状の既往がある患者や、センナなどの蠕動刺激薬で痛みが起こる患者に使用すると良い。
,末期癌患者の診療マニュアル第2版(1991),,74

*5
【4.2】:15
 排便が固い場合、浸透圧性下剤(例えば、軽度の場合にはラクツロース、重度の場合には硫酸マグネシウム)を投与する。
,緩和ケアハンドブック(1999),,,141

*5
【4.2】:16
 便秘に対しラクツロースの作用には数日かかる場合がある。慢性投与でより有効である。悪心を生じ、ガスによる腹満を生じる場合がある。
,緩和ケアハンドブック(1999),,,140

*5
【4.2】:17
 便秘にラクツロースを投与して胃膨満を生じる場合、ガスを緩和するには、ラクツロースの中止ではなく、活性炭製剤を投与する。
,緩和ケアハンドブック(1999),,,142

 
【4.2】:18
 便秘が続くと腹部膨満感が現れ、対処しないと宿便や麻痺性イレウスに発展する。宿便の場合、単に便通がないだけでなく、少量の水様便が頻回に排泄されることがある。排便があったと安心せず、直腸内の指診を行い便塊の除去を行わなければならない。
プルセニドの最大投与量は15錠の報告がある。
,モルヒネの副作用対策(1990),,3
,最新医学(1990),45,5,990

 
【4.2】:19
 便秘が長期にわたっている場合は、一般的な方法よりも、オリーブ浣腸が有効である。オリーブ油80mlを直腸腸内に注入し、肛門にタンポンで栓をして一晩おき、固まった便を軟化させて排泄させる。患者に一晩臥床を強いなければならないが、苦痛なく早期に解決できる方法である。
,ターミナルケア(1995),7,1,21

 
【4.2】:20
 1・2・3浣腸はオキシドール20ml、グリセリン(またはオリーブ油)40ml、2%石鹸水(または微温湯)60mlを混合して直腸から注入する方法である。非常に頑固な宿便があるときに有効であるが、直腸粘膜にびらんがある時には適さない。
,がんの症状マネジメント(1997),,,42

 
【4.2】:21
 直腸診にて硬便が触知されれば摘便を行う。摘便後、まだ宿便が残っているようであれば、レシカルボン坐薬やテレミンソフト坐薬を使用する。坐薬使用後、まだ宿便がとりきれないときには浣腸を行う。
,がんの症状マネジメント(1997),,,42

 
【4.2】:22
 グリセリン浣腸や下剤で解決しない便秘のときは微温湯による洗腸が効果的である。洗腸時に排便がなくても1〜2時間後に大量の排便があることがある。
,JIM(1992),2,5,384

 
【4.2】:23
 宿便になったときの対応策としては、とにかく便を出すこと。硬い宿便の存在を直腸触診で確かめたらオリーブ油120mLの停留浣腸を行い、一晩停留しておく。その前投薬として少量のジアゼパムの静注を考慮してもよい。次いで肛門から注意深く指を入れて糞塊を少しずつ崩しながら除去する。ジオクチル・ナトリウム・スルフォサクシネート300mgほどを100mLの水に溶いて注腸すると便塊はさらに柔らかくなる。ここで等張食塩水の高位浣腸(または石鹸浣腸)を行う。柔らかい宿便の時にはテレミンソフトを反応があるまで1日1回使う。
癌患者と対症療法(1996),7,,61

#1
【4.2】:24
 宿便の時の便塊が硬い場合は、夕方ピーナツ油浣腸を行い、翌朝まで停留させておき、次いで10〜20mgのテレミンソフトを使い、次いで塩類浣腸を行う。これで排便がないときには、用手摘便を試みなければならない。用手摘便を行うときには、ベンゾジアゼピン系の薬を前投薬する必要がある。前投薬としては、ワイパックス2mgの経口投与または静脈内注射、あるいはドルミカム2mgの経口投与または皮下注射を行う。
,終末期の諸症状からの解放(2000),,,35

 
【4.2】:25
 副作用としての便秘。経口投与が不可能な症例で、皮下・静注などでモルヒネを投与している場合に、浣腸でも排便がないときにはプロスタルモンFの点滴が必要となる。
,がん患者の痛みの治療(1994),,,89

*5
【4.2】:26
 モルヒネの副作用としてのまれな難治性便秘の症例では、腸管粘膜が正常であれば、経口ナロキソン投与(0.4〜0.8mgを効果が得られるまで4時間毎)を24〜48時間を超えない短期間に試みてもよい。この経口拮抗薬は、腸管のオピオイド受容体に選択的に作用すると推定される。
,MGHペインマネジメントの手引き(1997),,,321

#1
【4.2】:27
 癌患者の便秘は、薬剤性のものを含めて薬物療法だけで解決することはできない。マッサージや温罨法などのケアが重要である
,がん疼痛治療のレシピ(2002),,,75
   
 

 

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