| 【4.4】「モルヒネの副作用としての眠気」 | |
| 【4.4】:1 モルヒネの副作用としての眠気の発生頻度はモルヒネ使用患者の約20%である。眠気は一般に投与量と関係するが、少量でも見られることがある。ただし、激痛時は痛みがとれるまでは眠気は出現しない。 患者や家族はモルヒネ開始とともに眠気が出現すると不安になることがあるので、開始前に「痛み止めで少し眠くなることがあるが数日でなくなるので心配することはない」と説明する必要がある。モルヒネ開始前に痛みのため不眠が続いていた患者は、痛みが緩和すると数日間よく眠ることがあり、軽度の眠気は苦痛とならず、むしろ「気持ちがいい」という患者が多い。寝不足解消のため安心して寝てよいと説明する。 眠気に対する耐性が早期に出現するので、多くの患者では3〜5日間の様子観察だけで軽減、消失する。原則として痛みがとれるまでは、強い眠気は起きない。したがって痛みがなく眠気が強い場合、過量投与をまず疑い減量する。減量は1回量を3割減で痛みを出現させずに眠気を軽減させるように調節するとよい。 投与量を減らしても眠気が残る場合は、他の原因を除外した後にリタリン【適応外】の投与を試みる。リタリンは覚醒効果があり1回10〜20mgを朝、昼の2回投与で、眠気の改善に有効である。不眠の原因となるので夕刻以降の服用は原則として避ける。 また、モルヒネの持続皮下注入法に変更することで、副作用の発生を減少させることが可能である。この方法は痛みに応じて投与量を微調節でき、持続的効果が得られ、血中濃度を非常に安定させ、副作用が出現しにくい特徴がある。 ,臨床と薬物治療(1990),,58,46 【4.4】:2 モルヒネ投与中の患者で、眠気などが出現してきたら、肝・腎機能と共に高カルシウム血症をチェックする必要がある。 ,ターミナルケア(1995),7,1,6 【4.4】:3 眠気はモルヒネの過量投与を示す最初の兆候なので、そのときには投与量を半減する。しかし、痛みのため寝不足が続いた患者は、痛みの解消とともによく眠る。覚醒時に辻褄のあった話が出来ればモルヒネの薬理作用による眠気でないと考えてよい。 ,終末期医療(1991),,0,28 【4.4】:4 モルヒネには副作用としての眠気があるが、これとは別にモルヒネを必要とする患者の大部分が「うたたね」をすることが多い。多くの患者はスタミナに限界があり、健康時と違って休息や睡眠を多くとる必要がある。面会時に容易に目覚め、たやすく話をすることができれば休息としての「うたたね」であって患者にとってよいことである。 ,末期癌患者の診療マニュアル第2版(1991),,197 #1 【4.4】:5 24時間クレアチニン・クリアランスが30mL/min以下に低下していると、モルヒネによる眠気や傾眠の頻度は高くなる。 ,がん疼痛治療のレシピ(2002),,,76 【4.4】:6 モルヒネによる副作用の眠気に対して薬物療法を必要とする事は少ない。患者はむしろ心地よい眠気を好むことさえある。もし患者が希望すれば以下のような薬物療法もある。 カフェイン200〜300mg/日。頓用として1回100mg 塩酸エフェドリン100〜150mg/日。頓用として1回50mg【適応外】 ,癌の痛みハンドブック(1992),,103 #1 【4.4】:7 カフェイン1日量100〜300rを日中投与または頓服として1回100mg用いる文献もある。また、カフェインを含有し眠気の適応を有する薬剤として、安息香酸ナトリウムカフェイン(アンナカ)がある。アンナカは、散剤および注射剤があるため、経口投与不可能な患者における傾眠対策としても有効であると考えられる。常用量はアンナカ末が1回0.1〜0.6gを1日2〜3回、アンナカ注は、1回0.1〜0.4gを1日1〜3回(皮下、筋肉内または静脈内注射)である。モルヒネの傾眠対策に使用される投与量は不明であるが、カフェインに準じた使用が望ましいと考えられる。いずれにしても、患者の睡眠パターンの正常化を目標とする。 ,「モルヒネによるがん疼痛緩和」改訂版(2001),,,119 【4.4】:8 モルヒネ使用時の眠気の原因には、モルヒネ以外にもいろいろあり、鑑別が必要である。脳転移、肝不全の症状としてのうつらうつらした状態をモルヒネによるものと間違えることもある。 ,がん終末期の症状コントロール(1995),,,57 【4.4】:9 眠気、傾眠が強くても、痛みが軽減しなければモルヒネの単独投与では効果が不十分と考えられる。また、投与開始後数日しても傾眠が持続し、衰弱、腫瘍の脳転移、肝不全、尿毒症、電解質異常、血糖値の異常低血圧などの意識障害を生じる原因がなく、投与量の減量で痛みが出現する場合はリタリン10〜20mg/回、朝昼の2回を試みる。 ,痛み治療マニュアル(1993),,,54 【4.4】:10 痛みが消失したが、眠気などの中枢性副作用の出現がTmax(最高血漿濃度に達するまでの時間)前後であれば、1日量を変えずに投与回数を増やすのが良い。 ,Cancer Pain Symposium in Tokyo(1994) より |
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