【5.11】「ソセゴン(ペンタゾシン)」
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【5.11】:1
 ペンタジン注<ペンタゾシン>
 オピオイド共通の副作用はモルヒネより少ない。麻薬指定外であるため煩雑な使用手続きがいらず、多用される傾向にあるが、他のオピオイドに比べ耽溺、依存性(とくに精神依存)を起こしやすく、過度の鎮静、幻覚、錯乱など好ましくない精神作用や、血管抵抗の上昇、血圧上昇など循環刺激作用を起こしやすい。大量連用の後、急に中止すると振戦、興奮、動悸、冷汗などの禁断症状を生じる。また高齢者など、生理機能の低下しているものでは呼吸抑制が強く現れ、死に至ることもある。ペンタジンによる呼吸抑制は、ナロキソンで拮抗できる。
,がん終末期・難治性神経筋疾患進行期の症状コントロール(2000),,,91

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【5.11】:2
 ペンタゾシン(ソセゴン錠)
 (1)薬理
 薬物動態学的には、生体内利用率20%と低く、最高血中濃度に到達するまでの時間は1時間、半減期は3時間、作用時間は2〜3時間、コデインに対する力価比は1と報告されている。
 (2)特徽
 経口投与量は50mg分2または75mg分3から開始し、最大投与量は300mgとされている。副作用は、眠気、発汗、めまい、頭痛、血圧上昇、頻脈、嘔気などがある。しかし、嘔吐はモルヒネと比較して少ない。高用量では呼吸抑制が生じるが、ナロキソンによリ拮抗させることができる。慢性疼痛などでは依存性が認められ、かつ反復する筋注(ソセゴン注)は筋肉や皮下組織の広範な線維化を引き起こす。
,ペインクリニック(2002),23,12,1630

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【5.11】:3
 ペンタゾシン錠は、各種癌疼痛に対する鎮痛を目的に使用される。1回25〜50mgを投与し、必要に応じ追加投与する場合には3〜5時間の間隔をおく。当初、ペンタゾシン錠はWHO方式癌疼痛治療法の3段階除痛ラダーにおける第2段階のコデインの代わりに使用することを目的に開発された。しかし、日本では第2段階を経ずに第3段階に進むことが多く、第2段階が定着していないこと、またペンタゾシンは麻薬拮抗作用、精神症状、さらに鎮痛効果が弱く、天井効果を示すことから使いにくい薬物であるとされ、現在あまり使用されることはない。また、第3段階において、ペチジン、ペンタゾシン、ブトルファノールはモルヒネの代わりとしての利点は少ないといわれている。
 ペンタゾシンに過敏症の患者、頭部傷害または頭蓋内圧が上昇している患者、さらに重篤な呼吸抑制状態または全身状態が著しく悪化している患者には禁忌である。
 ペンタゾシンの問題点
 重大な副作用として、ショック(顔面蒼白、呼吸困難、チアノーゼ、血圧下降、頻脈、全身発赤など)、呼吸抑制(0.42%)、神経原性筋障害(脱力、歩行困難〈大量連用による四肢の筋萎縮〉)、中毒性表皮壊死症などを示すことがある。呼吸抑制が発現した場合には人工呼吸を行い、必要に応じ酸素吸入も行う。さらに、ドキサプラムの投与も有効であるが、麻薬拮抗薬(レバロルファン)は無効とされている。
 さらに、重大な副作用として依存性がある。基礎研究において、ペンタゾシンは頻回投与することにより明らかな身体依存を形成し、モルヒネよりは弱いがモルヒネ様の退薬症候を示すことが報告されている。さらに、薬物自己投与法や条件づけ場所嗜好性試験において、明らかな精神依存を誘発することも報告されている。このように、ペンタゾシンは明らかな精神および身体依存を形成するため、法的には麻薬および向精神薬取締法の向精神薬第2種として取り締まられている。
 臨床においても、使用中の快感が誘因となって強迫的薬物探索行動を生じさせ、精神依存を形成することがある。また、大量連用後の急な中止により、手指振戦、不安、興奮、悪心、動悸、冷感、不眠、まれにせん妄などの自律神経症状を主とする退薬症候(離脱症状)を起こすことがあるので、中止する場合は徐々に減量する。したがって、安易な使用や漫然とした使用を避け、さらにドクターショッピングなどにも十分注意する必要がある。また、残念なことにペンタゾシンもブプレノルフインと同様、医療者の乱用が多いことから、使用後のバイアルの残りの処分や盗難などにも厳重な注意を払い、厳重な保管管理を行わなければならない。
 ペンタゾシン錠には、乱用防止のため麻薬拮抗薬ナロキソンが配合されている。本錠剤を経口投与すると、配合されているナロキソンは初回通過効果を受けて不活性化され、ペンタゾシンのみ薬理効果(鎮痛作用など)を示す。しかし、本錠剤を粉砕し、生理食塩液に溶解し、その上澄みを静注で乱用すると、ナロキソンがペンタゾシンに拮抗してまったく効果を示さない。また、麻薬依存患者が投与した場合には退薬症候(離脱症状)を誘発し、さらに肺塞栓、血管閉塞、潰瘍、膿瘍を引き起こすなど、重度で致命的な事態を生じることがある。このような機序でペンタゾシン錠は乱用防止をはかっている。
,ターミナルケア(2003),13,1,37

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【5.11】:4
 ペンタゾシンは軽度ないし中等度の痛みに用いるが、長期反復投与を行うと精神症状が現れることが多いので、American Pain Society (1987)は癌患者の痛みへの長期反復投与を避けるように勧告している。
,「モルヒネによるがん疼痛緩和」改訂版(2001),,,222

*5
【5.11】:5
 ソセゴン内服錠の鎮痛効果は、モルヒネの1/3〜1/6程度、本剤50mgの経口投与はソセゴン筋注15mgとほぼ同程度であると報告されている。副作用は悪心、嘔吐など約10%にみられるがモルヒネに比べて少ない。本剤50mgを投与した場合の鎮痛効果発現時間は約1時間、持続時間は約7時間と報告されているので、6時間毎の定期的な投与が望ましい。
,臨床と薬物治療(1998),17,1,65

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【5.11】:6
 ペンダゾシン内服は1回量100〜150mg程度(4〜6錠)で鎮痛効果の上限に達するようであるが、十分な使用経験がない現在、ペンタゾシン1日9錠でも十分な鎮痛が得られないときは、モルヒネに切り替えることにしている。余談だが、ペンタゾシン注射薬依存症の患者に対して、ペンタゾシン錠が同一成分であることを十分に説明したうえで内服に切り替え、ペンタゾシン注射薬依存症から離脱できた症例を1例経験している。
,がん終末期・難治性神経筋疾患進行期の症状コントロール(2000),,,67

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【5.11】:7
 ペンタゾシン錠は鎮痛作用が発現するまで60分かかる。鎮痛効果の持続時間は数時間である。3か月以上の長期の定期的連用によっても精神症状がでることはないようである。主な副作用は、使用開始初期に、吐き気や胸焼けなどの消化器症状やめまい・頭がボーッとする感じが、内服1時間くらいで発現することが多い。これらは、安静にしているとさらに1時間くらいで軽減消失する。このような副作用自体、服用開始1週間以内で通常消失する。以上のことから、筆者は、リン酸コデインの代替薬として使用できると考えている。
,がん終末期・難治性神経筋疾患進行期の症状コントロール(2000),,,66

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【5.11】:8
 ペンタゾシン25mg錠の鎮痛力価は、ペンタゾシン筋注5mg、モルヒネ筋注2mg、モルヒネ内服5mg、リン酸コデイン内服30 mg程度に相当すると考えている。WHOは、連用により精神症状が出やすいこと、鎮痛効果に上限があること(天丼効果)、鎮痛効果持続時間が短いこと、連用により筋に非常に硬い硬結(ときに注射も困難となるほどである)をつくることなどから、ペンタゾシン注射薬を癌疼痛治療薬として用いることには否定的である(WHO方式癌疼痛治療法の鎮痛薬リストにペンタゾシンは記載されていない)。
,がん終末期・難治性神経筋疾患進行期の症状コントロール(2000),,,65

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【5.11】:9
 ペンタゾシン内服で満足のいく疼痛管理が行えない場合には、リン酸コデインもしくはモルヒネの内服に変更するべきである。われわれはペンタゾシンを1日量200mg程度まで増量して効果が認められない場合には上記薬物に変更している。ペンタゾシンのpotencyがモルヒネの1/6であることからペンタゾシン1日量250mgを内服している場合には、モルヒネの1日量は約40mgに換算される。
,麻酔科診療プラクティス 4癌性疼痛管理(2001),,,31

*5
【5.11】:10
 ペンタゾシンは持続性の疼痛の治療には不適当である。経口的に投与すると50mgでもコデインとアスピリン(2錠)併用よりも効果が弱い。これよりも多い量を数週間規則的に与薬すると、悪心、嘔吐、下痢、めまい、悪夢、幻覚および不快などの耐え難い副作用が生じる。ペンタゾシンは習慣性にならないような、あまり激しくないような短期間の痛み、特に手術後の痛みに有効である。
,終末期ケアハンドブック(1993),,,105

*5
【5.11】:11
 ソセゴンは超短時間型作用薬で、部分的拮抗薬であるため、他剤に変更する際は非常に危険である。また、不快感や幻覚も起こしやすい。
,ターミナル・ケアの症状緩和マニュアル(1998),,,38

*5
【5.11】:12
 急性痛に対しソセゴンを使用した場合の精神症状の出現頻度は、7〜10%であったと報告があるが、末期癌患者においては、これより多く出現すると考えられている。また、鎮痛持続時間が短い点、数回使用しただけでも爽快感や多幸感などが現れる可能性がある点などを考慮して、癌治療には適さないとの報告もある。一般病棟では現在でも癌性疼痛に対して筋注頓用薬として頻用されているが、上記の理由からできるだけ避けるべきである。
,ターミナルケア(1998),8,2,130

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【5.11】:13
 ペンタゾシンの中枢神経抑制作用にはナロキソンの投与が有効である。
 また、ペンタゾシンはセロトニン神経系賦活作用を有する抗鬱薬(アミトリプチリンや塩酸サフラジン)の作用を増強することがあるので、併用には注意が必要である
,ターミナルケア(2003),13,1,38

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【5.11】:14
 ソセゴン錠の副作用として嘔気、眠気などが報告されノバミンの予防投与が有効と考えられる。有効限界は12錠/日(300mg)で、6錠/日のステップでモルヒネへの移行をした方がよいと考える。
,今月の治療(2000),8,3,45
   
 

 

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