| 【5.4】「オキシコドン」 | |
| #1 【5.4】:1 オキシコドンは、阿片からコデインとモルヒネを製造する過程で生じるテバインから合成される。オキシコドンの鎮痛効果は投与経路によって異なり、静注ではモルヒネの1/2〜3/4程度であるが、経口投与ではモルヒネの1.5〜2倍程度の鎮痛効果と考えられている。経口投与されたオキシコドンはその構造上、初回通過効果を受けにくく、代謝されずに体循環に入る割合が高いことによる。経口投与による生体内利用率が、モルヒネが24%なのに対してオキシコドンは60〜80%ときわめて高い。投与量と鎮痛効果の関係では、モルヒネと同様に有効限界はない。 オキシコドンはμ受容体に作用し、嘔気、便秘、鎮静、呼吸抑制を生じる。癌疼痛患者において問題となる重篤な呼吸抑制にならないことは、モルヒネと同様である。吐き気やせん妄の頻度は、モルヒネに比べて少ないとされている。 オキシコドンは肝で代謝され、おもにオキシモルフォンとノルオキシコドンに代謝される。ノルオキシコドンは弱い鎮痛活性を持つが、その血中濃度はきわめて低く、鎮痛作用は未変化体の作用が主と考えられている。このほかの代謝物は尿中に排泄されるため、腎機能障害患者ではそれぞれの血中濃度が上昇するが、モルヒネにみられるような腎機能障害患者での傾眠が問題になることは少ないと考えられている。 モルヒネ製剤を使用していて問題になることのひとつは、腎機能障害と傾眠の関係である。鎮痛薬の投与を受けながら化学療法を受ける症例は確実に増えてきており、腎機能低下の影響を受けにくい薬剤の登場は歓迎するべきことである。多くの患者のQOLの改善に期待が大きい薬剤であろう。 ,ターミナルケア(2003),13,1,12 #1 【5.4】:2 オキシコドンは、副作用の点ではややモルヒネより少ない程度とされているが、最も簡単な投与経路である経口投与の徐放錠がはじめに市販される予定であり、患者にとっては自己管理が行いやすい。また、海外では少量から始めることで第2段階の薬剤としても使用されており、第2、第3段階を一括して使用できると考えられる。このことは、途中でオピオイドの種類を変更する必要がなく、薬剤の変更時の疼痛の増強や副作用の出現などのストレスなく鎮痛が維持できる可能性を示している。 しかし、オキシコドンもフェンタニル同様の問題を抱えている。疼痛時に使用できるレスキューの不在である。先にオキシコドンと塩酸ヒドロコタルニンの複合剤(パビナール注)について述べたか、いつでも使用できる剤形ではないため、レスキューとしては使用状況に制限がある。入院などの状況下では有用であり、モルヒネの副作用対策としてフェンタニルパッチに変更した症例でのレスキュー、特に腎機能障害の症例では有用性が高いと思われる。 ,ターミナルケア(2003),13,1,14 #1 【5.4】:3 オキソコドンの鎮痛作用は投与経路によりモルヒネと逆転する。経口投与ではオキシコドンの方がバイオアベイラビリティーが高く、モルヒネの1.3〜2倍の鎮痛効果を持つ。静脈内投与では慢性痛に対しモルヒネの0.7倍、急性痛に対し1.3倍といわれている。皮下投与は癌性疼痛でモルヒネによる中毒症状が生じた場合のオピオイドローテーションとして用いられる。くも膜下投与では、オキシコドンがモルヒネの1/14、硬膜外投与では、1/10の鎮痛効果と報告されている。現在日本で入手可能なオキシコドン注射液は、塩酸ヒドロコタルニンが含まれる複合体であるが、ヒドロコタルニンの詳細な作用はわかっていない。 副作用に関しては、癌性疼痛では、モルヒネの方が悪心・幻覚等は強いという報告があるが、術後鎮痛対策に経静脈的に投与した場合は、モルヒネと差がないという。概してオキシコドンはどの投与経路でもモルヒネと比較して副作用は同等あるいは、少ないとされる。モルヒネとオキシコドンの徐放剤の比較では、有効性においては差はみられないとされている。一般にオキシコドンはモルヒネよりも幻覚の出現頻度は低いと報告されているため、モルヒネに起因する幻覚を伴うせん妄がある場合はオキシコドンヘの変更が薦められる。また、オキシコドンはモルヒネに比べて腎機能障害を持つ患者には使いやすいと指摘されている。近々わが国でもオキシコドン徐放剤が市販される予定であり、癌性疼痛管理においてモルヒネ製剤に並ぶ治療選択肢の一つになるものと期待されている。 ,ペインクリニック(2002),23,12,1663 |
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