| 【6.1】「モルヒネが効かない場合にまず考えること」 | ||
| 【6.1.1】「モルヒネは十分に投与されているか」 | ||
【6.1.1】:1 |
||
| 【6.1.2】「疼痛の分類(モルヒネの効かない痛みがある)」 | ||
| #1 【6.1.2】:1 全身投与したオピオイド鎮痛薬の効き方の程度からも癌患者の痛みが分類できる。しかし、これはオピオイド鎮痛薬の全身投与したときの臨床経験に基づく分類であり、全身投与では効かなかったが、硬膜外投与や髄腔内投与では効果があがったとの報告があるので、全身投与時にのみ考慮すべき分類である。 ,オピオイドのすべて(1999),,,22 【6.1.2】:2 全身投与したモルヒネの効果から癌患者の痛みは次の4つに分類される。 (1)モルヒネによく反応する痛み 内臓転移痛 軟部組織への浸潤による痛み (2)モルヒネにある程度反応する痛み 骨転移痛(NSAIDsやステロイドを加える。放射線局所照射も有用) 神経圧迫による痛み(ステロイドを加えたり、神経ブロックを併用する) 頭蓋内圧亢進による痛み(ステロイドを加える) (3)モルヒネに反応しない痛み 筋攣縮痛(ジアゼパムを使う) 痛覚求心路遮断による痛み(三環系薬や抗痙攣薬を使う) 交感神経系が関与した痛み(交感神経ブロックを使う) (4)モルヒネに反応するが使うべきでない痛み 胃膨満痛(抗鼓腸薬を使う) 大腸収縮による痛み(腸蠕動刺激薬を使う) 便秘による痛み(浣腸、緩下剤を使う) ,医療麻薬の利用と管理’95(1995),,,83 【6.1.2】:3 (1)骨への浸潤 痛みの機序は末梢性でプロスタグランディンの遊離によるものと考えられている。したがって、疼痛治療には、インドメタシンなどの非ステロイド系抗炎症鎮痛薬をモルヒネと併用すると有効である。 (2)末梢神経.神経叢.脊髄への直接浸潤 モルヒネに抗鬱薬、抗痙攣薬、向精神薬を併用するとよい場合がある。カウザルギーや交感神経の破壊を伴う場合は交感神経ブロックが著効を示す場合がある。 (3)内臓への浸潤 内臓痛の病態はいろいろあるが、一般的には経口投与が困難であり、モルヒネ坐薬や点滴あるいは硬膜外投与が必要になる。 ときに内臓神経支配に一致した関連痛を生じ、腹腔神経ブロックが非常に効果的なことがある。 内臓痛より体性痛の方が鎮痛薬ははるかに多量を要する。癌の痛みにも鎮痛法は種々用意して、その適正な組み合わせをするべき。 ,治療(1992),74,01,176 #1 【6.1.2】:4 ごく少数の癌患者には交感神経が巻き込まれた痛み(sympathetic-maintained pain)が起こる。動脈分布領域に一致して起こるのが特徴で、薬が効かず、交感神経ブロックのみが効果をあげる痛みである。 ,がん看護(1998),3,4,271 #1 【6.1.2】:5 交感神経系が関与した痛みsympathetic-maintained painの特徴は、交感神経系の支配に依存した痛みで、動脈支配域に一致して起こる。灼熱的な痛みが多く、知覚障害を伴い、交感神経ブロックで除痛される。痛覚求心路遮断による痛みとの鑑別が必要であるが、鑑別がむずかしいことがある。癌患者での発生は少ない。 ,がんの痛みの鎮痛薬治療マニュアル(1994),,,11 #1 【6.1.2】:6 体性痛と内臓痛を合わせて侵害受容性疼痛とよび、これらは癌による組織破壊から出た発痛物質が痛覚線維を刺激することにより引き起こされる。体性痛の例としては、「うずく、刺し込む、鋭い」といった表現がなされ、痛みが比較的限局しており、壁側腹膜、胸膜、骨膜などに癌が浸潤した場合や、作動により悪化する痛みの場合などが該当する。神経支配領域に知覚障害を伴っていることも参考となる。一方「締めつけられる、局在のはっきりしない、鈍い」と表現される痛みは、C線維を介した内臓痛を疑わせるもので、入浴などで暖まると楽になる、という事実も大いに診断、治療の際に参考となる。オピオイドの投与効果、選択する神経ブロックの種類などに違いがあるので、体性痛と内臓痛とは分けて理解すべきである。 ,臨床と薬物治療(2002),21,2,11 #1 【6.1.2】:7 オピオイド鎮痛薬が効くが使うべきでない痛みとして、消化管の疝痛がある。急性の疝痛にはオピオイド鎮痛薬が使われるが、オピオイド鎮痛薬を繰り返して使うと消化管の平滑筋の収縮を強めることになるからである。代わって使うべき薬は臭化ブチルスコポラミンなどの鎮痙薬である。 ,オピオイドのすべて(1999),,,23 #1 【6.1.2】:8 最近は、癌の痛みの大きさをVASなどで追跡すると同時に、癌の発痛メカニズムを患者の訴えなどから探り出して、その発痛メカニズムに応じた処方設計をしていこうというように、大きく流れがかわってきていると思われる。WHOが1996年に出した第2版はその流れに洽っていると思われるが、癌の発痛メカニズムを大きく4つに分けて考えるのが一般的である。 1番目は、侵害受容器を物理的あるいは化学的に刺激して起こっている、いわゆる侵害受容性疼痛。 2番目は、神経系の異常によるもの。以前は、末梢神経の損傷ということが非常に注目されたが、今は末梢神経の損傷がきっかけになって、中枢神経を含めた疼痛認知機構の過敏性が亢進することが注目されて、そして、それをどう制御するかという問題になってきている。 3番目は、交感神経がなんらかの形で痛みを維持している、あるいは交感神経がなんらかの形で痛みに関与している疼痛。交感神経の求心路に着目している人は、SMP(sympathetically mediated pain)と言っているが、もっと広い意味で、交感神経が痛みを維持するのに一役かっているといういい方をする人は, sympathetically maintained pain、両方ともSMPであるが、いずれにしても、交感神経がなんらかの形で痛みに介在している、ないしは痛みの増強に関わっているというのが3番目の発痛メカニズムである。 4番目は、平滑筋あるいは骨格筋の攣縮による疼痛。骨格筋の攣縮というのは、要するに同じような体位で長いこと臥床していれば、どうしても非常に強いコリが生じる。そういう骨格筋の痛み。平滑筋の痛みというのは、腸閉塞のときの腸管のスパスムの痛みとか、そういうものが入る。 それゆえ、侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、それから交感神経が関与する痛みあるいはSMP、そして筋の攣縮による痛み、この4つの発痛メカニズムが想定されるが、慣れてくると患者の訴えから、ベッドサイドで大体読み取れるので、それに基づいて処方設計をしていくということになる。 かなり大ざっぱなお話であるが、4種類の発痛メカニズムによる痛みをベッドサイドでどう鑑別するかと言えば、患者の訴えをていねいに聴けば、あらかたわかる。痛みで顔が歪んでいるような患者に質問をする場合、ともかくまず最初は、「現在の痛みは、あなたが小さいころからこれまでに経験してきたさまざまな痛みと似たような痛みですか。要するに、転んだときに手足を擦りむいたような痛みとか、指先をとげで刺したり、刃物で切ったりしたときの痛みとか、そういうものに近いですか」と聴いて、「ああ、そうです」という答えがパッと返ってくれば、少なくとも侵害受容性疼痛がメインだということになる。 「そんな痛みとはちょっと違う。とてもうまくいいあらわせない」というような話になってくると、次には、「ひょっとしたら、やけどを思わせるような、あるいは日焼けしたとかに感ずるような、ヒリヒリ、ピリピリ感を伴った痛みで、ときとき電気が走るような鋭い痛みを伴った痛みですか」と聴いて、「それに近いです」となると、神経因性疼痛がメインか、少なくとも神経因性疼痛が絡まっている痛みだなと考える。 それから、SMPは、虚血痛の痛みがSMPの痛みの代表なので、長いこと正座していたときにしびれとも痛みとも表現できないような不快な鈍痛が生ずるときがあるが、それに近いと答えれば、SMPのファクターがはいっていると判断する。 あとは、いわゆる差し込み、胆石の痛みとか膀胱結石あるいは尿路結石の痛み。私たちはそういうのはよく見慣れているが、それを連想させるような痛みを訴えられたりする場合は、内臓の消化管の攣縮が関与している痛みを考える。あるいは、背中が非常に凝って痛い。これはこちらから聴かないと、コリがあるということは普通は言わないので、「凝っていますか」と話しかけると、「凝って、凝って大変なんです。ときどき、首筋から後頭部が痛くなって、そのまま額や目の奥まで痛くなってくるんです」という話をしばしば聴くことになる。こんなときは、これは長いこと同じような体位を強制されていることによるコリの痛みがメインかと考える。発痛メカニズムが想定できると、それに対する初期治療法は経験的・理論的にすてにぼば確立しているので、あとは、それぞれに対して処方設計ができるということになる。 ,非ステロイド性抗炎症薬の選択と適正使用 改訂第3版(2002),,,3 【6.1.2.a】「モルヒネの効きにくい痛み」#1 【6.1.2.a】:1 痛みのなかには、オピオイドがまったく無効であるか、効きが非常に弱いものがある。 オピオイドに反応しにくい痛みの代表は、三叉神経痛、糖尿病性神経障害による痛み、帯状疱疹後神経痛、遷延性術後痛、反射性交感神経性萎縮症、幻肢痛、癌疼痛のうち癌が神経を圧迫、浸潤、破壊したときに生ずる痛みなどである。これらはすべて神経の器質的あるいは機能的な異常によっで生ずる痛みで、神経因性疼痛(neuropathic pain)と総称される(神経自体に原因のある痛み)。 また、腸管がれん縮したときの痛みや、長期臥床に伴って必発する筋筋膜性疼痛や筋緊張性頭痛もオピオイドに反応しない(筋の攣縮に伴う痛み)。 腫瘤が動静脈を圧排したりリンパ還流を障害したときの、末梢循環不全と浮腫を伴った不快な絞り上げられるような痛みも、オピオイドにほとんど反応しない(虚血や交感神経の関与する痛み)。 ,がん終末期・難治性神経筋疾患進行期の症状コントロール(2000),,,75 【6.1.2.a】:2 モルヒネの効きにくい痛みとして以下の3つが上げられる。 (1)骨転移による体動時痛:鎮痛補助剤の投与、放射線療法、理学療法士の介入 (2)神経因性疼痛(ニューロパシックペイン):鎮痛補助剤の投与 (3)死亡直前期の重篤な疼痛(消化管穿孔、腹腔内出血):鎮静の考慮 ,ターミナルケアマニュアル第3版(1997),,,60 ,緩和ケアマニュアル(ターミナルケアマニュアル第4版)(2001),,,70 #1 【6.1.2.a】:3 急性痛のなかで、モルヒネが効きにくいかどうかをチェックする前に調べる必要があるものは、(1)病的骨折、(2)脳圧亢進時の頭痛である。これらに対してモルヒネはほぼ無効であり、(1)に対しては固定、または緊急に手術を行う必要がある。(2)に対してもモルヒネは無効であり、高浸透圧利尿剤、ステロイドを早急に投与する必要があるため、早期の診断、治療が重要である。 ,わかるできるがんの症状マネジメントU(2001),,,117 【6.1.2.a】:4 モルヒネの経口または持続皮下注入で90%の患者を完全除痛できるが、残りの10%に疼痛は軽減できても完全除痛できない症例がある。これらは骨盤内腫瘍(直腸癌、子宮癌)、Pancoast型肺癌などの神経直接浸潤例や、腰椎転移による体動時痛例である。報告では、モルヒネ経口4200mg/日や持続皮下注入1536mg/日の大量投与でも完全除痛できない症例もある。こういった症例にはモルヒネに固執することなく、早期より硬膜外ブロックや、くも膜下フェノールブロックなどの神経ブロック療法や放射線療法を考慮しなければならない。また、トリプタノールなどの抗鬱薬やカタプレスが有効との報告もある。 ,臨床と薬物治療(1990),,58,82 #1 【6.1.2.a】:5 パンコースト症候群の痛みのように神経障害性の痛みが交感神経が関与して起こった痛みを混在していることもある。交感神経が関与した痛みには交感神経ブロックしか有効でなく、薬のみの治療は無効であったが、最近になって薬による治療が検討されている。今でもパンコースト症候群の痛みを薬のみによって治療したときには痛みは軽減するが、完全消失がほとんど実現していない。 ,オピオイドのすべて(1999),,,22 #1 【6.1.2.a】:6 モルヒネが効きにくい痛みとして、以下が上げられる。経口モルヒネ1日量が200〜300mgを超え、約15%のレスキューモルヒネに反応しない痛み。やけるような、突き刺すような、などの痛み。皮膚の異常感覚。運動麻痺を伴っている領域の痛み。 ,今月の治療(2000),8,3,57 #1 【6.1.2.a】:7 多くの時間をベッド上で週ごすようになる癌終末期には、脊柱起立筋は絶えず体位性の負荷を受けることになる。これに、さまざまな不安や葛藤が加わると、頸部や腰背部の筋に強いこり(筋スパスム)が生ずる。このこりは筋の虚血と発痛物質の産生をもたらし、侵害受容器を刺激して不快感や痛みとして意識されるようになる。この痛みのインパルスは脊髄後根神経節内の一次ニュ−ロン(偽双極細胞)により脊髄後角に入力するが、ここで同部位を遠心性に支配する交感神経や運動神経の二ューロンと接続すると、当該部位の筋緊張はさらに強まり、ここに悪循環が形成され、しだいにぬき差しならぬほどの痛みとなって患者を悩ます。癌が脊椎に転移し、転移巣周辺に炎症が生ずると、近傍の筋にこりが生じ、これが上記のメカニズムでしだいにコチコチのこりになることもある。このような痛みを筋筋膜性疼痛(myofascial pain)といい、終末期の患者を非常に苦しめる。 ,がん終末期・難治性神経筋疾患進行期の症状コントロール(2000),,,44 【6.1.2.b】「骨転移痛」#1 【6.1.2.b】:1 癌細胞が血行性に骨に移転して増殖し、初期には骨に分布する神経を剌激して痛みを起こす。そのため、単純X線検査で所見が出る前に痛みが先行するので注意が必要である。また、痛みの出現頻度は血清カルシウム値やアルカリ性フォスファターゼ値の上昇よりも頻度が高いとされており、これらの検査値の異常がないからといって安心はできない。さらに癌細胞が増殖すると神経系や血管を圧迫して新たな痛みが起こる。体動時の痛みが出現してくれば病的骨折の発生が疑われる。 ,がん患者の訴える痛みの治療(2001),,,37 #1 【6.1.2.b】:2 骨転移に伴う体動時痛。 体動時に急激に増強する疼痛のマネジメントは、ときに難渋する。体動時に疼痛が出現しないようにモルヒネを増量すると、安静時に強い眠気が出現し患者の (QOL)を著しく低下させてしまうことがある。このような場合には、体動的にモルヒネのrescue dose (臨時追加投与量)を処方するのがよい。1日投与量の1/4〜1/6のモルヒネを速効性製剤で投与するか、1時間投与量のモルヒネ注射薬を緩徐に投与するのがよい。しかし比較的日常生活動作(ADL)の保たれている患者においては頻繁にrescue dose が必要になり、完全な疼痛マネジメントは困難になることがある。また、体性痛とともに骨転移が脊髄や根神経を圧迫することによって、神経因性疼痛が同時に出現していることも多い。このような場合、鎮痛補助薬の投与が有効である。また、生命予後から判断し放射線治療が可能であれば、有効なことがある。 ,ターミナルケアマニュアル第3版(1997),,,61 ,緩和ケアマニュアル(ターミナルケアマニュアル第4版)(2001),,,70 【6.1.2.b】:3 骨転移による体動時痛は一般的にはWHO方式とNSAIDsの投与で、安静時の疼痛は比較的コントロールは簡単である。しかし、体動時に急激に増加する疼痛のコントロールは時に難渋する。このような場合は体性痛とともに骨転移が脊髄や神経根を圧迫することによって、神経因性疼痛が同時に出現していることが多い。従って、鎮痛補助剤の投与が有効な場合がある。 ,緩和ケアマニュアル(ターミナルケアマニュアル第4版)(2001),,,70 【6.1.2.b】:4 痛みを伴う検査や体位交換時に痛みを予防する目的でNSAIDsや鎮痛薬を前もって投与することは意味がない。なぜなら、自発痛には鎮痛薬・麻酔薬のいずれも有効だが、体動時痛のような痛み刺激による疼痛を完全に抑えることができるのは麻酔薬だからである。 ,がん患者の痛みの治療(1994),,,101 【6.1.2.b】:5 モルヒネはWHO癌疼痛治療ラダーの第三段階に位置する強力な鎮痛薬である。しかし、モルヒネでも鎮痛困難な疼痛は存在する。このような種類の疼痛では、モルヒネを増量しても患者は疼痛を訴え続け、傾眠傾向ばかりが増強してくる。このような場合、NSAIDsの併用が意外なほど効果を発揮することがある。とくに、骨転移痛などの疼痛では、モルヒネ単独では鎮痛困難な場合でも、優れた効果が現れることが多い。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (痛みの全体)=(モルヒネが効く痛み)+(NSAIDsが効く痛み) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ,今月の治療(1996),4,4,115 【6.1.2.b】:6 ケタミンは、神経因性や骨転移の強い痛みに1〜2mg/kg/日を持続皮下注や持続静注で投与し、眠気もほとんどなく良好なコントロールが得られる。 ,ターミナルケア(1995),7,1,29 【6.1.2.b】:7 癌の進行期の患者の痛みの訴えは信用した方がよい。たとえそこに骨シンチの集積像を見ないときでも、骨転移と考え、MSコンチンを念頭において、疼痛コントロールを開始したほうがよい。やがて患者の訴えを追うようにして骨シンチは描かれていく。 ,JIM(1992),2,6,497 #1 【6.1.2.b】:8 骨転移痛には非オピオイド鎮痛薬の投与が基本であるが使用量に上限があり、オピオイド使用でも十分効果が得られない場合、副腎皮質ステロイドの使用を考慮する。 ,Evidence-Based Medicineに則ったがん疼痛治療ガイドライン(2000),,,83 (注:骨転移痛に関しては、以下の各章を参照して下さい) 参照−【6.2.4】「非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)」 参照−【6.2.5】「アセトアミノフェン」 参照−【6.2.6.c】「エルシトニン」 参照−【6.2.6.a】「アレディア(パミドロン酸ニナトリウム)」 参照−【6.2.6.b】「ダイドロネル」 参照−【6.2.7】「ホルモン療法」 参照−【6.2.11】「ケタミン」 参照−【6.2.12】「ステロイド」 参照−【6.4.1】「神経ブロック療法」 参照−【6.4.2】「放射線療法」 【6.1.2.c】「ニューロパシックペイン(神経因性疼痛)」#1 【6.1.2.c】:1 WHO方式癌疼痛治療法を正しく用いることにより7〜9割の患者では良好な鎮痛が得られる。しかし、癌による疼痛を有する患者ではその3割に神経因性疼痛(neuropathic pain)を合併し、これらはモルヒネに抵抗性を示すことが知られている。 ,緩和ケアテキスト(2002),,,60 #1 【6.1.2.c】:2 ニューロパシックペインの臨床的特徴 a.あきらかな組織損傷がなくても痛みがある。 b.灼けるよう、ひりひりする、しびれを伴うなどと表現され、持続的、ときに電撃的な痛みである。 c.普通では痛みを起こさないような刺激(たとえば軽く触れるなど)によって痛みが発現する(allodynia:アロデニアという)。 d.非ステロイド性抗炎症性鎮痛薬やモルヒネが効きにくい。 e.疼痛部位に一致して知覚障害を認めることがある。 ,緩和ケアテキスト(2002),,,60 #1 【6.1.2.c】:3 ニューロパシックペインにおいては、損傷された末梢神経の後根神経節にコレシストキニン(cholecystokinine)が大量に発現する。この物質は内因性モルヒネ拮抗性物質として働き、モルヒネの作用を抑制する。ニューロパシックペインを治療するには通常の約10倍の量のモルヒネが必要とされるが、最近ではモルヒネが有効なニューロパシックペインの存在も確認されている。 ,緩和ケアテキスト(2002),,,61 #1 【6.1.2.c】:4 Portenoyらはニューロパシックペインを以下を3つの種類に分類した。 1)持続的な不快な異常感覚 2)刺されるような、または突発的な痛み 3)交感神経が関与した痛み いずれもまず抗鬱薬の投与を行うこと推奨している。それに加えて1)ではメキシチールまたエルシトニンを、局所への薬剤としてカプサイシンクリーム、局所麻酔薬を含んだクリーム、NSAIDsを含有する軟膏を推奨している。2)に対してはテグレトール、フェニトイン、デパケンなどをはじめとしてランドセン、ギャバロン、ピモジドを推奨している。 ,誰でもできる緩和医療(1999),,,36 #1 【6.1.2.c】:5 ニューロパシックペインへの対応 ファーストチョイスとして、抗痙攣薬ではランドセンを、抗鬱薬では短時間で効果が出る点でアモキサンを使う医師もいる。トリプタノールは効果発現に時間がかかる。 ,今月の治療(2000),8,3,18 #1 【6.1.2.c】:6 ニューロパシックペイン 痛みの性質で間欠的な痛みに対しては抗痙攣薬、持続的な不快な痛みには抗鬱薬を投与するという考え方が一般的であるが、鎮痛効果発現期間も考えると、即効性が期待できる抗痙攣薬をまず投与することが有効である。モルヒネの鎮痛効果の増強も期待することができる。それでも効果が薄い場合には、モルヒネに抗痙攣薬、抗鬱薬を併用する。ニューロパシックペインは、治療が困難であることが多く、鎮痛補助薬の一種類だけ併用するのみでは不十分であることが多い。このほかに抗不整脈薬、NMDA受容体拮抗薬を重ねていくことも必要であることがある。 ,ターミナルケア(2002),12,6,452 【6.1.2.c】:7 ケタミンはニューロパシックペインに有効である。しかし、ニューロパシックペインと明確に診断できない病態でも、モルヒネの効果が悪いときにケタミン併用を試みてもよい。 ,がんの症状マネジメント(1997),,,130 (注:ニューロパシックペインの対処法に関しては、以下の各章を参照して下さい) 参照−【6.2.1】「鎮痛補助薬選択法」 参照−【6.2.11】「ケタミン」 参照−【6.2.10】「抗不整脈薬」 参照−【6.2.8】「抗鬱薬」 参照−【6.2.9】「抗痙攣薬」 参照−【6.4.1】「神経ブロック療法」 【6.1.2.d】「疝痛」【6.1.2.d】:1 疝痛は、有腔臓器の内腔の狭窄や閉塞による平滑筋の強い収縮によって引き起こされる痛みである。間歇的な痛みであることが多い。このような痛みにはブスコパンなどの鎮痙薬が有効である。 ,ターミナルケアマニュアル第3版(1997),,,21 ,緩和ケアマニュアル(ターミナルケアマニュアル第4版)(2001),,,93 #1 【6.1.2.d】:2 腸管における疝痛。 ・治療可能な便秘を治療し、除外する。 ・放射線治療や化学療法による腸管刺激の場合、ロペミンを考慮する。 ・胆汁による場合、クエストランを始める。 ・薬剤による場合、投与量を減らすか中止する。 ・腸の不完全閉塞に対しては、緩下剤を強力バルコゾルに変更し、ブスコパンを舌下または経口で使用する。 ・腸の完全閉塞で手術不可能な場合、ブスコパンの持続皮下注また同時に消化管閉塞の治療を行う。 ,フローチャートで学ぶ緩和ケアの実際(1999),,,9 #1 【6.1.2.d】:3 膀胱における疝痛。 ・治療可能な感染症と尿の流出障害を治療し、除外する。 ・不安定膀胱に対してトフラニールまたはプロバンサイン。 ・腫瘍による膀胱刺激に対して0.25%マーカイン20mLを10分間膀胱内へ注入する。 ,フローチャートで学ぶ緩和ケアの実際(1999),,,9 #1 【6.1.2.d】:4 尿管における疝痛 ・治療可能な感染症を治療し除外する。 ・下部の閉塞に対して、ステントを考慮する。 ・他のやり方として大量デカドロン投与を考慮する。 ,フローチャートで学ぶ緩和ケアの実際(1999),,,9 参照−【7.10.1】「腸閉塞による疼痛(疝痛と内臓痛)」 【6.1.2.e】「筋攣縮痛」*5 【6.1.2.e】:1 セルシン(ホリゾン)は筋痙攣による痛みが原因の場合にきわめて有効である。筋の攣縮に伴う痛みはそれほど多くみられないが、著しい脱水状態の患者などでは電解質異常などによって神経−筋の被刺激性が亢進し、筋の攣縮や身の置き所のない全身の不快感を生じることがある。 ,緩和医療(1999),1,2,62 #1 【6.1.2.e】:2 (1)ジアゼパム(ホリゾン)は、筋痙攣による痛みにはきわめて有効である。筋痙攣による痛みはジアゼパム以外では治療困難な場合が多い。 (2)ジアゼパム製剤は、経口剤として錠剤、散剤、シロップがあり、ほかに注射剤、坐剤が市販されているため、患者の状態にあわせた投与経路の選択が可能である。 (3)ジアゼパム5〜10mgの服用は、不安を軽減し筋の攣縮を抑えるのに有効である。 (4)ジアゼパムの注射剤は希釈すると白濁し、効果が不安定になりやすいので、原液のまま使用する。注射剤の投与では、2〜2.5mg程度の少量から開始し数分ごとに繰り返し投与する。 (5)眠気や傾眠傾向が著しい場合には投与を中止する。全身状態の悪い患者や、モルヒネによる傾眠傾向が強い患者では、呼吸停止が見られることがあるので時間をかけて観察を行う。 (6)経口投与は安全性の高い投与法であるが、ジアゼパムは半減期が長く(約30時間)、中止後も薬剤の影響がなくなるまでに長時間が必要である。 (7)直腸内投与(ダイアップ坐剤)は、静注と同様に速やかな効果が期待できる。死亡前の数日間に見られるような筋攣縮では、5〜10mgの直腸内投与が有効である。 (8)同じグループの薬剤としてミダゾラム(ドルミカム)のように半減期が短いものもあるが、ジアパム代替薬として同等の効果を期待することはできない。 ,がん疼痛治療のレシピ(2002),,,105 #1 【6.1.2.e】:3 抗不安薬であるジアゼパム(ホリゾン)は筋の攣縮(こむらがえりなど)による痛みに特効的である。 ,がん疼痛治療のレシピ(2002),,,102 |
||
![]()
Copyright 1997-2003 Akira Dobashi, Department of Pharmaceutical Information
Science (formerly, Department of Structural Organic Chemistry).All rights
reserved. |