【7.21】「不安」
  【7.21】:1
 不安は痛みのある患者によくみられるが、治療で十分に疼痛が除去されれば解消することが多く、抗不安薬をすぐ必要とする事はまれである。何よりも患者の話に傾聴し共感することが重要である。しかし、強い不安や恐れによって痛みや呼吸困難などの身体症状が増強されている場合はセパゾンを1回1〜2mg、1日3回投与が非常に有効なことがある。レキソタンは抗不安作用のほか恐怖症や脅迫症状のみられる患者に有効で、1回2mgを1日3回投与する。メレックスは、不安によって動悸などの循環器症状のみられる患者に有効で1回0.5mgを1日3回投与とする。セレナールは、副作用が少なく高齢者や全身衰弱の見られる患者が適応となる。また、少量のジアゼパムが筋の攣縮や緊張を和らげるのに有効なことがある。
,癌疼痛治療におけるモルヒネの使い方(1991),,214

#1
【7.21】:2
 クロキサゾラム(セパゾン)
 錠剤:1回1〜2mg、1日2〜3回。強い不安や恐れによって、痛みや呼吸困難などの身体症状が増強されている場合、クロキサゾラムの投与が有効である。抗不安作用が強く、作用時間は長い。
,緩和ケアマニュアル(ターミナルケアマニュアル第4版)(2001),,,185

#1
【7.21】:3
 ジアゼパム(セルシン)
 錠剤:1回2〜5mg、 1日2〜4回。ベンゾジアゼピン系抗不安薬の標準薬とされる。筋弛緩作用や抗痙攣作用か強いので日中の使用には注意を要する。少量のジアゼパムが筋の攣縮や緊張を和らげるのに有用である。
,緩和ケアマニュアル(ターミナルケアマニュアル第4版)(2001),,,185

#1
【7.21】:4
 ブロマゼパム(レキソタン)
 錠剤:1回1〜2mg、 1日3回。プロマゼパムは抗不安作用のほか、恐怖症や強迫症状のみられる患者に有効である。
,緩和ケアマニュアル(ターミナルケアマニュアル第4版)(2001),,,186

#1
【7.21】:5
 オキサゾラム(セレナール)
 錠剤:1回5〜20mg、 1日3回。オキサゾラムは副作用が少なく、高齢者や体力低下のみられる患者が適応となる。
,緩和ケアマニュアル(ターミナルケアマニュアル第4版)(2001),,,186

 
【7.21】:6
 癌終末期の不安に抗不安薬を使う場合。通常の不安にはワイパックスを初回3mg分3、6mg分3まで増量可。ジアゼパムは急性不安、発作性不安に1回5〜10mgを開始量とし1回10mg1日2〜3回まで使用可能。
,癌の痛みハンドブック(1992),,,120

*5
【7.21】:7
 不安には、心理的援助が必要だが、不安が強い場合には、さらに薬物療法が必要になる。不眠、緊張した表情、焦燥感などが初期症状。セルシンを6mg→15→30→40mg/日まで増量し、同時に抗鬱薬の就寝時投与を加えて睡眠のパターンをコントロールする。さらに強い不安にはウインタミンを25mg/日→50→75mg/日に増量して投与する。
,癌患者の症状のコントロール(1991),,,119

 
【7.21】:8
 抗不安薬は精神安定のみでなく、筋緊張性の痛みにも有効であり、患者が「これがよく効く」と好んでいる場合には、薬剤の変更や中止はかえって不安を覚えるので注意する。ジアゼパムは眠気に影響するが、ワイパックス、デパス、リーゼは軽度である。
,ターミナルケア(1995),7,1,27

 
【7.21】:9
 心理的な要因がモルヒネの作用を阻害することがある。モルヒネ投与は包括的な身体的心理的ケアの手段の一つとして行うべきものである。心理的要因を無視すると痛みが治療に反応しにくくなってしまう。MSコンチン6000mgを12時間ごとに投与されても除痛できなかった患者がMSコンチン30mgの12時間ごとの投与とジアゼパム10mgの就寝前経口投与で除痛でき退院もできた。
 このようなことを実現させた鍵は患者と医療者のコミュニケーションであった。このような場合、治療の第一目標は、痛み、不眠、疲労、痛みの増強、興奮という悪循環を断ち切ることにある。夜間の良眠が得られるようにするには、少なくとも対応の初期には就寝時に抗不安薬とモルヒネの併用が必要である。
,末期癌患者の診療マニュアル第2版(1991),,186

*5
【7.21】:10
 コンスタンの末期ケアでの常用は、強い依存が生じるため避ける。末期に近づき量を減らさなければならないとき、重症の退薬症状や痙攣が起こる。静注も同様に勧められない。
,ターミナル・ケアの症状緩和マニュアル(1998),,,66

#1
【7.21】:11
 不安に対してベンゾジアゼピン系の薬が無効な場合には、フェノチアジン系の薬が有用である。例えば1回2〜5rでセレネースを開始し、続いて就寝前に投与する。メレリルやウインタミンも鎮静効果が大きく、代わりに使うことのできる有用な薬である。
,終末期の諸症状からの解放(2000),,,20

*5
【7.21】:12
 癌の受容に至るまで十分な怒り十分な嘆きをだしていくことも大事である。そのために「癌」に対し逃げることなく対峙していくことも大切である。今までのベンゾジアゼピン系抗不安薬は、逃避に近い側面がある。その点セディールは意識していない不安、緊張を消退させ、抑鬱状態を解消していく。それは癌患者の内面の不安、抑鬱を消退させ、受容のプロセスをスムーズに進展させていく可能性がある。さらには、精神状態の安定化は免疫機能を高め、癌治療に対してもよい効果をもたらす可能性がある。
,今月の治療(1998),6,6,113

 
【7.21】:13
 モルヒネ使用中に抗不安薬を投与する必要が生じた場合は、アタラックスPがもっともよいと思われる。なぜなら抗不安作用、鎮静作用だけでなく、モルヒネの鎮痛作用増強とともに抗ヒスタミン作用、制吐作用などモルヒネの副作用にも効果がある。また、経口・静注双方の薬剤があり、しかも循環・呼吸系への影響が少ないので、全身状態が悪化している患者にも使用できる。
,がん患者の痛みの治療(1994),,,82

*5
【7.21】:14
 テノーミン【適応外】25〜50mg/日は不安による身体症状に、鎮静もなく効果があることが多い。
 バルビツール酸系薬剤は不安に対するベンゾジアゼピン系薬剤への反応が悪くなったときの代用によい。
,ターミナル・ケアの症状緩和マニュアル(1998),,,67

#1
【7.21】:15
 不安に伴う発汗や振戦などの身体的症状は、インデラル【適応外】の10〜20mgの投与(投与間隔8時間以上)で消失するが、既往に喘息のある患者には使うべきではない。
,終末期の諸症状からの解放(2000),,,20

*5
【7.21】:16
 患者に不安が生じた際、可能なときは常に不安症状を生じる薬物を中止する。たとえば、抗コリン薬、アミノフィリン、β作動薬、大量のプリンペランなど。
,緩和ケアハンドブック(1999),,,242

#1
【7.21】:17
 不安を抱く患者は、抑鬱を示していることが多い。不安を伴う抑鬱には抗鬱薬投与が有効であるが、ベンゾジアゼピン系の薬は無効なため、診断に際しては不安を伴う抑鬱の把握が重要である。
,終末期の諸症状からの解放(2000),,,17
   
 

 

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