| 【7.27】「咳」 | |
| #1 【7.27】:1 咳の治療方針 (1)乾性のせき 腫瘍による乾性のせきは、気道や肺自体には強い炎症や感染がない場合であって、腫瘍や腫瘍周囲の炎症が、気管、気管支、胸膜、横隔膜を圧迫したり刺激したりするときに起こる。除外診断として、気管支喘息でないことをまず確認する。気管支喘息であれば、気管支拡張薬やステロイドの与薬など、喘息に対する治療を行う。以下に述べるオピオイド(コデインやモルヒネなど)を主体とする治療は禁忌なのでこの確認は大切である。 癌終末期の腫瘍による乾性のせきは、抑え込むのが原則で、躊躇することなく強力な鎮咳薬(コデイン、モルヒネなどのオピオイド)を使用する。オピオイドで効果が見られないときは、局所麻酔薬(キシロカイン、マーカイン)【適応外】のネブライゼーションを試みる。 (2)湿性のせき 湿性のせきは、抑制するのではなく、むしろこれを促して分添物を喀出させることを原則とする。ただし、湿性のせきであっても、患者の負担になるほどせきが激しいときは、オピオイドを用いてせきを抑制するのもやむを得ない。 ,がん終末期・難治性神経筋疾患進行期の症状コントロール(2000),,,112 #1 【7.27】:2 乾性咳嗽に対して、(1)吸入療法:モルヒネ2.5〜5mg+デキサメタゾン2.Omg+O.9%生食2.5 ml、 重症では2%リドカイン2ml+O.9%生食2.5 ml、 (2)口すぼめ呼吸が挙げられる。 湿性咳嗽に関しては、(1)加湿療法、(2)吸入療法:サルブタモールO.5ml+生食2.5 ml、 アトロピン1〜2mg+モルヒネ2.5〜5mg±デキサメタゾン2mg、(3)排痰法(排痰体位、咳嗽の介助法、Huffing)、が挙げられる。 ,わかるできるがんの症状マネジメントU(2001),,,169 【7.27】:3 癌終末期の乾性の咳は押さえ込むのが原則で、躊躇することなくコデイン、モルヒネを使用する。麻薬で効果がみられないときには局所麻酔薬のネブライザーを用いる。腫瘍の種類によっては、放射線照射によってこれが小さくなり咳が治まることもある。湿性の咳は抑制するのではなく、むしろこれを促して、分泌物を喀出させることを原則とする。すなわち、吸入気を加湿し、気道粘液溶解剤を使用し、咽喉頭刺激や胸部理学療法を行って分泌物が喀出しやすいようにする。 ,がん終末期の症状コントロール(1995),,,83 #1 【7.27】:4 オピオイドによる咳の抑制 まずリン酸コデイン末30〜60mg分3内服を処方する。これでおさまらないときは、120 mg分4まで増量する。さらに、おさまらないときはモルヒネ散30mg分6内服に処方を変更し、以後痛みに対してモルヒネを処方するときと同じ要領で、効果があるまで漸増する。痛みあるいは呼吸困難のため、すでにモルヒネを使用している患者では、リン酸コデインは無効であり、始めからモルヒネを使用する。とりあえず、モルヒネの使用量を5割増しとし、以後効果があるまで増量する。 ,がん終末期・難治性神経筋疾患進行期の症状コントロール(2000),,,112 #1 【7.27】:5 モルヒネの鎮咳薬としての使用法 1回量3〜5mgを1日4〜5回投与する。すでにモルヒネを内服している場合には使用量を50%増量し、効果があるまで増量する。1日量30mgまで増量して効果がなければ無効の可能性が高い。 ,ペインクリニックで用いる薬100+α(2002),,,5 *5 【7.27】:6 肺癌の強い咳(乾性)にコデインを用いても効果が足りない場合はモルヒネ吸入療法に素早く切り替える。モルヒネ末を蒸留水で溶いて5〜10mg、ステロイドは水溶性のリンデロンなどを用い、場合によってはビソルボンやアレベールを入れて合計2mLとして2〜3回/日吸入させる。 ,臨床と薬物治療(1999),18,3,20 【7.27】:7 癌患者の咳止めにモルヒネとコデインの併用は同じ薬理作用を持つもののため、意味がない。鎮痛目的でモルヒネを投与中の患者に咳がある場合は、コデインを追加するのではなく、コデインと同効量のモルヒネを追加増量して対応する。 ,癌患者と対症療法(1996),7,,62 【7.27】:8 癌終末期において咳を抑える場合は、すでにモルヒネが使用されている患者の場合はリン酸コデインは無効であり、始めからモルヒネを使用する。とりあえず、モルヒネの使用量を5割増しとし、以後効果があるまで増量する。鎮静効果ばかり全景に出て、もうろう状態となりながら咳が止まらない場合はモルヒネを減量、中止せざるを得ない。 激しく痙攣様にせき込んで、十分な吸気ができなくなることがある。これは緊急事態でありモルヒネの静注を行う。モルヒネを10mg/10mLに希釈し、1mg静注しては2〜5分観察することを繰り返して、咳が十分弱くなるまで追加する。咳が治まったときには呼吸はしばしば強く抑制されている。規則的に呼吸を促す号令をかけながら、呼吸停止に対する厳重な注意の元、経過を観察する。このようにして咳嗽発作を抑制するのに成功した場合は、抑制するのに要したモルヒネの量と咳が再発するまでの時間を参考にモルヒネの1日の必要量を決定する。 癌性リンパ管炎による咳や、腫瘍周囲の炎症性浮腫が気道を刺激して起こっている咳にはステロイドが有効なことがある。これを疑ったら、まず比較的大量のステロイド(デカドロン8mg/日、ソルメドロール250〜500mg/日)を与薬し、有効であれば、漸減し維持量を決定する。効果がなければ中止する。 ,がん終末期の症状コントロール(1995),,,84 【7.27】:9 癌性リンパ管症の強い咳にステロイドとモルヒネを併用する。リンデロン1〜2mg朝昼2回、モルヒネは5〜20mgを4時間毎に内服させる。咳のための不安定な精神状態には、ジアゼパム5〜10mgを経口投与し、次いで5〜10mgを夜1回投与する。高齢者や全身衰弱で体重減少の著しい患者では2〜5mgとする。 ,緩和医療学(1997),,,98 *5 【7.27】:10 乾性咳嗽に対し、すでにオピオイドが投与されている患者では、モルヒネとデカドロンをネブライザーにより投与する。可能ならばフェイスマスクでなくマウスピースを介して投与する。 ,緩和ケアハンドブック(1999),,,173 #1 【7.27】:11 乾性咳嗽が持続して起こると、呼吸困難を悪化させることがあるか、これは室内の湿度を上げることで軽減する。他の方法としては、局所麻酔薬である2%のlignocaineを1〜2時間毎にスプレーにより吸入する(これが原因で嚥下困難になることはまずない)か、ネブライザーなどを使って、2%のlignocaine5mLを15〜20分間吸入することなどがある。使用後1時間は誤嚥防止のため絶食する。 ,フローチャートで学ぶ緩和ケアの実際(1999),,,62 【7.27】:12 0.25%塩酸ブピバカイン(マーカイン)【適応外】のネブライザー吸入は、気管支までに原因がある咳嗽(特に乾性)に有効なことがある。1回3〜5mL、1日3〜4回(1日30mL)まで。味が不快であったり、口や喉にしびれ感がみられたり、吸入後数時間は誤嚥の恐れがあったりするため経口摂取は避けなければならないので、他の方法が無効なときに考慮する。 ,ターミナルケアマニュアル第2版(1992),,,106 ,ターミナルケアマニュアル第3版(1997),,,120 ,緩和ケアマニュアル(ターミナルケアマニュアル第4版)(2001),,,126 *5 【7.27】:13 リン酸コデイン等の投与でも鎮咳効果がない場合には、4%キシロカイン5mL+生食水5mLによる吸入も試みられるべきである。 ,ターミナルケア医学(1989),,,174 *5 【7.27】:14 乾性咳嗽が頻発し、重篤な場合は2%リドカイン2mLと生理食塩水1mLをネブライザーにより10分間、1日3回。投与後1時間は禁飲食。 ,緩和ケアハンドブック(1999),,,173 #1 【7.27】:15 局所麻酔薬は、なめる形で用いられ、咽頭の刺激によって起こる咳に有効である。ネブライザーにより気道内に直接的に投与してもよく、ネブライザーによる投与は気管支内に腫瘍があるときに特に有用である。最初に使うときには、気管支けいれんが起こる可能性があるため蘇生器具を用意しておく必要がある。 ,終末期の諸症状からの解放(2000),,,40 #1 【7.27】:16 局所麻酔薬のネブライザーは、せきの抑制には効果的であるが、局所麻酔薬は気道内面から大変速やかに吸収されるので、局所麻酔薬中毒(血中濃度の急上昇によるoverdose intoxication)を起こす危険があり、多弁、舌や口角のふるえ、頻脈などの症状(これらは、局所麻酔薬中毒の初期症状である)を認めたらネブライゼーションをすぐに中止する。 ,がん終末期・難治性神経筋疾患進行期の症状コントロール(2000),,,114 *5 【7.27】:17 ブピバカインやモルヒネの吸入療法が難治性の乾性咳嗽に有効な場合があるとされるが、有効性は証明されていない。誤嚥を避けるために局所麻酔吸入後1時間は飲食を控える。また両者とも気管支スパズムを生じることがあるため、喘息の既往に注意する。 ,ターミナルケア6月増刊号(1999),9,,112 【7.27】:18 あらゆる鎮咳剤やオピオイドに抵抗する咳嗽に対してキシロカイン【適応外】の持続皮下注入が有効な場合がある。使用方法は鎮痛補助薬としての方法と同様で、800〜1200mg/日でよい。急な咳嗽に対しては、1〜2mg/kgを50mLの生食に溶解して投与しても効果的である。 ,ターミナルケアマニュアル第3版(1997),,,121 ,緩和ケアマニュアル(ターミナルケアマニュアル第4版)(2001),,,126 *5 【7.27】:19 湿性咳嗽で排痰可能な患者の場合、蒸気吸入器かネブライザーによる加湿。ベネトリン0.5mLと生理食塩水2.5mLをネブライザーにより1日3回投与。 ,緩和ケアハンドブック(1999),,,173 *5 【7.27】:20 湿性咳嗽で排痰不能な患者には、中枢性鎮咳薬。アトロピン1〜2mg+モルヒネ2.5〜5mg±デカドロン2mgをネブライザーにより投与、1日4回。ドルミカム2.5〜5mg筋注。吸引を避ける。咽喉出血や劇症肺水腫、大量の分泌物を伴う気管切開患者に限って吸引を用いる。末期の泡沫状分泌物には、アトロピン1〜2mg筋注/静注またはスコポラミン0.3〜0.6mg筋注/皮下注4時間毎を用いる。 ,緩和ケアハンドブック(1999),,,173 【7.27】:21 全身状態が不良で痰を喀出できない場合は、鎮咳剤の投与やスコポラミン(0.3〜0.6mgを4時間毎に皮下注)【適応外】や痰の吸引を行う。乾性の咳の場合には、鎮咳剤の投与やマイナートランキライザーの投与を行う。また、癌性リンパ管症による呼吸困難を伴う頑固な咳嗽に対しては、プレドニゾロンの1日10〜20mg内服投与が有効なこともある。 ,ターミナルケア(1997),7,2,116 *5 【7.27】:22 分泌物を喀出できない衰弱した患者の湿性咳にスコポラミン0.125〜0.25mg舌下または0.5mg皮下注4時間毎。または、アトロピン【適応外】を錠剤0.3〜0.4mgか吸入(アトロベント)【適応外】で ,ターミナル・ケアの症状緩和マニュアル(1998),,,81 *5 【7.27】:23 終末期癌患者の頑固な咳嗽に対する治療として気道吸引を繰り返すことは苦痛をもたらすだけではなく気道粘膜の損傷・気道閉塞・不整脈などの合併症があるため、ハイスコ【適応外】の使用により分泌液を抑制することが勧められる。 ,ターミナルケア6月増刊号(1999),9,,112 |
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