【7.28】「呼吸困難」
  #1
【7.28】:1
 呼吸困難は癌末期患者のおよそ30〜70%にみられるとされているが、Reubenらは死亡前6週間に70%の患者にみられ、死亡に近づくに従いその頻度が増してくるとし、Meursらは死亡直前に90%近くに達すると報告している。呼吸困難の適切な対応はまずその原因を推定することである。腫瘍による肺、胸腔、胸郭への浸潤が呼吸困難をもたらすことが多いが、この他にも基礎疾患としてCOPDや心疾患にも注意する必要がある。
,緩和ケアテキスト(2002),,,95

#1
【7.28】:2
 呼吸困難は主観的症状であるので、痛みの場合と同様、その評価は患者自身の言葉によりおこなうこと、患者の訴えを信じることが基本である。本人による症状の評価と他者(医療スタッフや家族)による評価を比較検討した研究では、疼痛・倦怠感などにくらべ、とくに呼吸困難において、他者評価でのばらつきが大きく、また、過小評価されやすいことが報告されている。とくに医師は、家族やナースにくらべ、呼吸困難を過小評価しているという結果は注目に値する。症状を評価する際のポイントは、(1)量的評価(どの程度息苦しいか?)、(2)質的評価(どのような息苦しさか?)、(3)インパクト評価(生活にどのような影響を与えているか?)である。 (1)量的評価の目的は、患者が感じている呼吸困難の程度を数字などの量的指標に置き換えることによって、認識を共有することである。評価時点だけでなく、過去24時間以内(または1週間以内など)の最高値・最低値・平均値を、必要に応じて評価する。
,緩和医療(2001),3,3,10

#1
【7.28】:3
 末期癌患者の呼吸困難の対策には、(1)呼吸理学療法を行う、(2)元気づける、(3)顔に冷たい微風をあてる、(4)吸入療法(進行癌の呼吸困難には最も有効):モルヒネ2.5mg+デキサメタゾン2.Omg+O.9%生食2.5 ml、 必要によりモルヒネの投与量を増加(5〜1O mg)、経口・非経ロモルヒネ投与の患者にも有効(吸入モルヒネの15〜2O%が全身に吸入されるが、モルヒネによる呼吸抑制はほとんど起こらない)、(5)酸素投与、(6)胸水の除去、(7)鎮静薬の投与、(8)抗不安薬の投与、などが挙げられる。
,わかるできるがんの症状マネジメントU(2001),,,169

#1
【7.28】:4
 気管支喘息やうっ血性心不全による呼吸困難に対して効果があるとされるフロセミド(ラシックス)の吸入が、癌による呼吸困難に対しても検討されており、呼吸困難が改善したとの報告もある。その報告によると、β刺激剤やテオフィリン製剤の併用を行わず、20mgのフロセミド注射剤を原液のまま単剤で使用し、ネブライザーで霧状にし、症状に関係なく1日4回の定時吸入を行っている。その結果、吸入開始後には強い呼吸困難の発作は認められず、呼吸困難を訴えていない状態(安静時)における呼吸回数は有意に低下したものの、労作時の呼吸困難の改善は認められなかった。
,「モルヒネによるがん疼痛緩和」改訂版(2001),,,248

#1
【7.28】:5
 フロセミド(furosemide)【適応外】の吸入は喘息患者の症状改善に効果があると報告されてきたが、最近の報告ではフロセミドの吸入が肺のイリタント受容器の抑制と肺伸展受容器の興奮を介したメカニズムの関与が示されている。フロセミドの吸入療法は投与量や投与法が確立していないが、著効する場合もあり、適応と投与法について検討中である。
,わかるできるがんの症状マネジメントU(2001),,,157

#1
【7.28】:6
 フロセミドを吸入すると、気管支上皮のNaイオン−Kイオン−2Clイオンの共輸送体が抑制され、受容体周囲の細胞外液にNaイオンとClイオンが増加する。そのため、肺伸展受容体活動の増加と、肺イリタント受容体活動が低下し、呼吸困難が緩和される。また、会話や嚥下に重要な息ごらえ時間を延長するという。使用の際は、フロセミド20mg/Aに生理的食塩水を加え吸入する。副作用はほとんどみられない。癌患者の呼吸困難では十分な検討がなされていないが、期待が持たれている治療法である。
,がんの在宅医療(2002),,,174

#1
【7.28】:7
 北里大学におけるフロセミド吸入の調査では、1日4回、1回20mg(1A)の定期投与を行った。施行された症例では、開始後1日目には呼吸困難感の程度、呼吸回数ともに低下した。また、デカドロンとエピネフン入りのネブライザーでは明らかにフロセミドを効果的と評価した。
,わかるできるがんの症状マネジメントU(2001),,,157

*5
【7.28】:8
 ネブライザー治療希釈液には、気管支収縮を生じるため、滅菌水ではなく、常に注射用生理食塩水を使用する。
,緩和ケアハンドブック(1999),,,169

*5
【7.28】:9
 呼吸困難の薬物療法として、ドルミカム5〜10mg筋注または緩徐に静注。モルヒネ5〜10mgネブライザーまたは静注。ウインタミン25mg経口または筋注。
,緩和ケアハンドブック(1999),,,169

*5
【7.28】:10
 腫瘍による気管支閉塞による呼吸困難には放射線療法(症例の90%まで呼吸困難を改善する)やステロイドの経口。扁平上皮癌による肺実質の占拠にはエトポシドによる化学療法を行う。
,緩和ケアハンドブック(1999),,,169

#1
【7.28】:11
 末期癌患者の呼吸困難の対策としての口すぼめ呼吸
 最も楽な体位をとらせたら、吸入療法や高濃度の酸素吸入を併用しながら口すぼめ呼吸をしてもらう。口すぼめ呼吸は口をすぼめて、{f}あるいは{s}という音をさせながら息を吐き、吸気と呼気の比は1:3〜5程度、呼吸数10回/分程度を目標にしてゆっくり吐かせる。
,わかるできるがんの症状マネジメントU(2001),,,170

#1
【7.28】:12
 緩和困難な呼吸困難がみられたら鎮静を必要とする場合がある。呼吸困難感に対して鎮静を始める時期については、緩和ケア病棟では次のような条件を設定している。
(1)モルヒネ、ステロイド、抗不安薬などを併用して、可能な限り呼吸困難の緩和を図り、ハイスコなども使用して痰に対する対処をしている。
(2)残された時間が週単位から日単位で、モルヒネによる効果が限界にきている。
(3)患者または家族の了解を得ている。
 呼吸困難に対するセデーションは、まず浅いセデーションから始める必要がある。これは、患者の不安が非常に強まり、さらに呼吸筋が緊張のため疲労している場合、それにより呼吸困難が悪化していることがあるからである。このような場合には、抗不安薬を使うことで、かなり軽減されることがある。
,ホスピスケアの実際(2000),,,12

#1
【7.28】:13
 患者の依頼と家族の同意がある場合は、鎮静も選択肢の一つになり得る。十分量のオピオイドがベースに使用されている場合、ドルミカムは、初回は0.5〜1.0 mgを静注しては1分間様子を見るという方法で、入眠するまで追加していく。2〜3mgで入眠することが多い。以後、睡眠を維持するには0.04 mg/kg/hr(1日5A)の注入速度が標準的注入量であるが、個人差が大きいので、鎮静状況を観察しながら増減することになる。
,がん終末期・難治性神経筋疾患進行期の症状コントロール(2000),,,110

#1
【7.28】:14
 最近、肺癌や食道癌の治療のために縦隔への放射線治療が増えてきているが、縦隔へ放射線をあてて、気管粘膜の繊毛が破壊されたような場合には、痰は途中まで上がってくるが、すべり落ちてしまう。したがって、痰を出そうとしても出せずに非常に苦痛を伴う。予後が月単位で、ある程度体力がある人なら、自力で痰を出すことができるが、週単位の見通しの場合、自力で出すことが困難なときがある。喀痰がひっかかって苦しいときには、ハイスコを舌下で使うようにしたほうがよいと思われる。
,ホスピスケアの実際(2000),,,180

#1
【7.28】:15
 気道狭窄については、最近「エクスパンダブル・メタリック・ステント]という「金属性ステント」が開発され、緩和ケア病棟でも使用経験がある。症例によっては有効な場合もあるが、適応のある症例はそれほど多くない。すべての気道狭窄に勧められる方法とはいえない。気道狭窄はやはりモルヒネとコルチコステロイドを使う必要がある。また、ゼロゼロと痰が上がってくるのに出し切れないような喀痰貯留に対しては、臭化水素スコポラミン(ハイスコ)の1/2Aの舌下投与がかなり有効。
,ホスピスケアの実際(2000),,,180
     
  【7.28.1】「呼吸困難に対するモルヒネの使用」
   

#1
【7.28.1】:1
 モルヒネの呼吸困難感に対する使用法はこの10年間に広まったもので、今では呼吸困難感に第一に選択すべき薬となっている。
,ターミナルケア(2000),10,6,426

#1
【7.28.1】:2
 オピオイドによる呼吸困難改善の主な作用機序は、呼吸抑制作用、すなわち「呼吸数を減らして呼吸努力要求感を軽減すること」と考えられている。その有効率は国立療養所西群馬病院では68%であった。著者らは普及のために、さらにdose escalation study を行い、副作用が少なく有効例を拾い出す方法を推奨している。すなわち、経口塩酸モルヒネを少量(9mg/日程度)から開始し、効果がなければ副作用をみながら、30mg/日まで増量し、30mg/日までに効果が認められなければ、無効例の可能性が高いので中止することを推奨している。
,がんの在宅医療(2002),,,173

 
【7.28.1】:3
 英国などではホスピスでの臨床経験からモルヒネ、コルチコステロイド、マイナートランキライザーの組み合わせが呼吸困難の緩和に有効とされている。
,ターミナルケア(1995),5,4,271

 
【7.28.1】:4
 呼吸困難におけるモルヒネの使用は、息切れの軽減を目的とし次の点を考慮する。
 ・心不全、気管支痙攣のような可逆的な呼吸困難増悪因子が適切に治療されている。
 ・呼吸困難への対応方針が患者に伝えられている。
 ・抗不安薬が投与されている。
(投与量)
 1回5mg、4時間ごとで投与開始し、就寝時は5〜10mgとする。翌日になっても効果がなく、副作用もないときは10mg、4時間ごと、就寝時15〜20mgに増量する。効果はあるが安静時呼吸数が24以下にならなければ2〜3日後にさらに増量する。必要なら、さらに2〜3日後に15〜20mgの4時間ごとの投与とする。
 除痛のためにすでにモルヒネを服用している患者では、モルヒネを50%増量する。治療目標はチアノーゼのない精神的に安定した苦痛のない状態にすること。
,末期癌患者の診療マニュアル第2版(1991),,214

 
【7.28.1】:5
 呼吸困難に対するモルヒネの投与法
「目標」:息苦しさの軽減(呼吸の過剰促進の緩和)
(1)他の呼吸困難増悪因子が除去されていること
(2)呼吸困難への対応方針が患者に伝えられていること
(3)抗不安薬が投与されていること
  (ジアゼパム5〜10mg/夜)
(4)呼吸数 30回/分以上
(5)投与量
 a.5mg/4時間毎 経口(就寝時には5〜10mg)で開始 5-10-15-20-30-40-60-80-110-150mgの順に増量
 b.注射:(酸素4リットル/分 経鼻カニューラで吸引下) 2.5-5-7.5-10-15-20-30-40-55-75mgの順に増量
(6)呼吸数30回/分以上で増量、12回/分以下で減量
,緩和医療学(1997),,,95

*5
【7.28.1】:6
 呼吸困難への標準的なモルヒネ投与法
 モルヒネは疼痛治療に用いる半量から開始する。すでにモルヒネが投与されている場合は20〜50%の幅で増量していく。治療効果の判定は、患者本人の呼吸困難感の程度を基準とし、1分間の呼吸数を参考とする。
,ターミナルケア(1999),9,1,24

 
【7.28.1】:7
 モルヒネを使った呼吸困難の治療は、主として頻呼吸の場合が適応となる。初回量を痛みの治療の場合の半分くらいから始めて、呼吸数が落ち着くまで増量する。すでに痛みでモルヒネが使われている場合は、呼吸がおちつくまで増量する。またモルヒネに加えて、ジアゼパムなどの抗不安薬やリンデロンかプレドニンを使うとよい。
,がん疼痛緩和とモルヒネの適正使用(1995),,,93

 
【7.28.1】:8
 モルヒネは非常に少量で呼吸困難に有効である。鎮咳作用もある。頻呼吸にもよい。臨床的に重大な呼吸抑制を起こさずCO2の蓄積は通常起きない。痛みのためモルヒネを使用している患者は3〜5割増しにするとよい。
,ターミナルケアマニュアル第2版(1992),,,100
,ターミナルケアマニュアル第3版(1997),,,114
,緩和ケアマニュアル(ターミナルケアマニュアル第4版)(2001),,,119

 
【7.28.1】:9
 モルヒネ剤は、心臓喘息の場合、中枢の換気刺激に対する興奮性を低めて呼吸困難を消失させるが、肺性呼吸困難には適さない。ことに高炭酸ガス血症が存在し、CO2感受性の低下した閉塞性障害時にモルヒネで呼吸中枢を抑制するとCO2ナルコーシスを発生させるので禁忌である。ただし、肺癌などの末期症状による肺性の呼吸困難には有効な対処法がなく、モルヒネを使用せざるを得ない場合がしばしばある。
,臨床医の注射と処方-第6版(1993),,,147

 
【7.28.1】:10
 Cohenらは、酸素療法や非オピオイドの投与、または、オピオイドの間欠投与によっても呼吸困難の改善のみられなかった患者に対して、モルヒネの持続静注の効果を検討した。初めにモルヒネ1mgまたは2mgを5〜10分ごとに、呼吸困難が改善されるまでone shot静注し、その総投与量の50%を1時間あたりの注入量として、持続静注を開始した。効果がない場合は、副作用の指標として鎮静の発現を観察しながら24時間ごとに投与量を25%増量した。その結果、8名のうち6名で症状が改善し、1名が中等度、他の1名は改善が見られなかった。
,モルヒネによるがん疼痛緩和(1997),,,133
,「モルヒネによるがん疼痛緩和」改訂版(2001),,,143

#1
【7.28.1】:11
 呼吸困難に対しモルヒネを投与する際には原則が3つある。第1は、呼吸困難感のみの場合は痛みに対するモルヒネ投与量の1/2量で解消するということである。筆者は、1回あたり3〜5mgの開始量で、それを1日4回投与する方法をとっている。 3mgにするか5mgにするかは、その患者の全身状態による。たとえば、ある程度体力のある人なら、5mgから投与する。しかし、高齢で衰弱がかなり進んでいるような人に1回5mg投与で、かえって眠気が出てしまうこともある。
 第2は、モルヒネ量の増量は細かく少量ずつ行うことである。疼痛コントールを目的にモルヒネを使う場合の増量方法は20〜50%増しで行う。しかし、呼吸困難感の場合、筆者は20〜30%の幅で増量していく漸増法を選択している。
 第3は副作用のコントロールをすることである。モルヒネによる副作用で重大視されるものにしばしば呼吸抑制が挙げられる。呼吸困難感の緩和のためにモルヒネを投与する場合には、呼吸抑制に先行して眠気が出るということに注意を要する。眠気が出た時点で投与を中止するか、減量する必要がある。もう一つ気をつけなければならないのが呼吸数である。健康人は15〜16回/分呼吸をしているが、それより少し多い20回前後が目標。呼吸数が1O回以下になってしまうと呼吸抑制を起こす可能性が高いので、20回前後にコントロールされた時点で投与量を固定したほうがよいと思われる。
 モルヒネを継続投与すると便秘が出現する。呼吸困難感が出現した場合、便秘は緩下剤だけでは解決が難しくなる。特に生命予後が週〜日単位になってくると、自然排便はます無理である。したがって、週に1〜2度は浣腸や坐薬を用いて排便をコントロールする。
 呼吸困難に対してレスキュードーズが有効かどうかは十分に検討されていないが、臨床的には有効だと思われる。筆者の経験では、たとえば1回あたり5mgのんでいるケースでは、呼吸が苦しくなったときに1回量を追加すると効果を得られている。
,ホスピスケアの実際(2000),,,177

#1
【7.28.1】:12
 モルヒネが呼吸困難感を緩和する理由には次の3つがある。
(1)呼吸数を減らす作用:
 筆者の研究結果によると、モルヒネを投与する前の呼吸数の平均数は25〜26回であったが、飲んだ後24時間以内では15〜18回に落ちた。呼吸回数が落ちるだけで、患者はかなり楽になるようである。
(2)呼吸困難感の中枢を鈍くする作用:
 呼吸困難感を感じる中枢の位置は明らかにされていないが、大脳皮質の一部にあると考えられている。モルヒネはその中枢の閾値を上げる作用があるといわれている。
(3)気管支拡張作用:
 気管支が広がることにより、呼吸困難感が緩和されると考えられている。
,ホスピスケアの実際(2000),,,33

#1
【7.28.1】:13
 吸困難感の緩和にモルヒネを使う場合には、できるだけ早期の段階で開始することが大切。具体的には、患者が「動くと、やや苦しい」「体を動かすと、かなり苦しい」と訴える段階で始めるようにする。「体を動かすと、かなり苦しい」状態とは、階段の昇降が目安になる。階段を昇り降りするときに苦しければ、モルヒネ水を使い始める。モルヒネ水を使うことに患者が躊躇するような場合で、咳を伴っている場合はコデインを導入のために使い始めても構わない。コデインは咳止めのイメージが強い薬なので、まったく咳が出ないようなときには使用しにくいが、咳を伴っている場合、コデインを使うことで呼吸困難が緩和されることがある。コデインは体内で代謝されると一定の割合でモルヒネの未変化体となる。
,ホスピスケアの実際(2000),,,11

#1
【7.28.1】:14
 時間の余裕があれば、安全のため弱オピオイドから開始するという方法もあるかもしれない。たとえばリン酸コデイン120mg/日、分3または分4から開始して増量し13対1で換算し、経口モルヒネに切り替える。すでにモルヒネが投与されている患者ではそれまでの量より33〜50%多い量から始める。
,誰でもできる緩和医療(1999),,,43

#1
【7.28.1】:15
 呼吸困難感に対するモルヒネの使い方
 治療目標は患者と家族の双方にとっての苦痛と恐怖を緩和することであり、1分間に50回以上となった頻呼吸を1分間25回以下に減少させることである。目標に到達するまで漸増していく。ジアゼパムやコルチコステロイドの併用が勧められている。
,オピオイドのすべて(1999),,,81

#1
【7.28.1】:16
 モルヒネの全身投与が呼吸困難を改善する機序は十分解明されていないが、呼吸中枢の感受性の低下・呼吸数減少による酸素消費量の減少・鎮咳作用・中枢性の鎮静作用などが関与するとされる。一般に、疼痛に対する使用量より少量で効果があるとされ、また作用時間は、鎮痛効果より短いとされるため少量で開始し、微調整しながら必要量と回数を決定する。
 モルヒネは呼吸数・1回換気量を減少させるため、呼吸抑制に注意が必要とされるが、少量から開始し呼吸回数をモニターすれば、通常臨床的に重篤な問題となることはない。しかし、呼吸機能低下例、腎機能低下例、高齢者に対しては、開始時・増量時に必ず呼吸回数をモニターする(8〜10回/分以上が目安)。全身状態が不良な症例に対して大量で開始したり、急激に増量することが呼吸抑制の事故につながるため、全身状態が比較的良好で呼吸困難が軽度な段階からモルヒネを開始しておくと、スムーズに増量の微調整ができる。 モルヒネの吸入療法は、全身性の副作用が少なく、即効性があるとされるが、有効性は確立されていない。
,わかるできるがんの症状マネジメントU(2001),,,152

#1
【7.28.1】:17
 Twycrossらは、モルヒネや他のオピオイドを投与されたことのない患者については、モルヒネ5mgを4時間ごとに経口投与することから開始するよう勧めている。投与量の増量は、鎮静などの副作用の程度を観察しながら検討する。効果のない場合は投与2日目に、モルヒネをlOmgに増量して4時間ごとに投与する。その結果、依然として呼吸困難が継続(呼吸数が24回/min以上)するならば、さらにモルヒネを15〜20mgに増量して4時間ごとに投与する。就寝前の投与量を増量する方法も有効といわれている。
,「モルヒネによるがん疼痛緩和」改訂版(2001),,,142

#1
【7.28.1】:18
 柏木らは、塩酸モルヒネ製剤ならば1回3〜5mg、1日4〜5回から開始し、硫酸モルヒネ徐放錠(MSコンチン錠)を用いる場合には1回10mgを1日2回から開始する方法を勧めており、志真も塩酸モルヒネ水溶液を用いて1回3mgを4〜6時間ごとから投与を開始した後、必要に応じて5mg→7mg→lOmg→と増量する方法を標準的に採用している。すでに疼痛治療を目的としてモルヒネが投与されている場合には、投与量を20〜50%増量することにより呼吸困難の改善を図る。
,「モルヒネによるがん疼痛緩和」改訂版(2001),,,142

#1
【7.28.1】:19
 呼吸困難緩和のためのモルヒネ使用の普及のためには、副作用なく有効例を効率よく拾い出せる投与法を開発することである。そこで筆者らは、経口塩酸モルヒネによるdose escalation study (3日後毎に9→12→18→24→30→36→42→48mg)を試行し、至適量の検討をおこなった。そして、(1)9mg/日(有効例の32.4%が得られる)から30mg/日(有効例の97.3%が得られる)までは増量により有効例が増加したが、それ以上では増量効果が著しく減少すること、(2)減量・中止に至る副作用は18mg/日まではなく、24mg/日で1例出現し、36mg/日からはある程度の割合で出現するという結果を得た。
,緩和医療(2001),3,3,18

#1
【7.28.1】:20
 志真は呼吸抑制に対するモルヒネの投与法として、24時間持続皮下注法を提唱しており、0.5mg/hrから開始し、 l.Omg/hr→1.5mg/hr→と増量していく方法を示している。同様に、斎藤もモルヒネの呼吸困難緩和効果に個人差が大きいことを述べ、呼吸困難が軽度のうちに持続皮下注法で開始し、少量投与からの段階的増量が望ましいと報告している。具体的には、6mg/日程度から開始し、効果がなければ3mg/日程度の増量を行っていくが、急な発作に対応するためのrescue doseとしては0.5〜2mg/回程度で設定する。さらに、増量による緩和効果は30mg/日を超えると急激に減少するため、30mg/日までに効果が認められなければ、無効例の可能性が高いと考える。なお、モルヒネの持続皮下注と持続点滴静注における血中濃度の比較では、両者に差がないことが確認されている。
,「モルヒネによるがん疼痛緩和」改訂版(2001),,,143

#1
【7.28.1】:21
 持続静注時に呼吸困難が悪化した場合には、モルヒネの注入速度を速めるよりも必要時にモルヒネを追加投与する方が有効である。また、鎮静が生じた場合は症状が回復するまで投与を中止し、再開時は最初の投与量の50%量で開始されることが勧められている。,
「モルヒネによるがん疼痛緩和」改訂版(2001),,,144

#1
【7.28.1】:22
 モルヒネの皮下注や持続静注または吸入などの投与法は、死亡直前の高度な呼吸困難例では無効なことが多く、良好な症状緩和を得るためには、呼吸困難が軽度な時期から開始するべきである。
,「モルヒネによるがん疼痛緩和」改訂版(2001),,,142

#1
【7.28.1】:23
 近年、癌患者の呼吸困難に対するモルヒネの吸入の有効性が広く検討されている。欧米では約10年前から癌終末期にモルヒネの吸入が用いられてきた。現在までその使用法は確立されていないものの、呼吸困難の治療法の1つとして有用である可能性が示唆されている。
,「モルヒネによるがん疼痛緩和」改訂版(2001),,,144

#1
【7.28.1】:24
 モルヒネ吸入療法の利点は、速効性があり、全身性の副作用が少ないこと、簡便で自己調節が可能なことである。モルヒネの吸入の安全性については、Farncombeらが、54人の呼吸困難を有する患者に、各種オピオイドの吸入をおこない、簡便で、副作用が少なく、有効であると報告している。一般にモルヒネの全身投与にくらべて、吸入のほうが副作用が少ない理由は、局所効果が主体で、吸収による全身への影響が少ないためと考えられる。しかし、特異体質として、モルヒネの吸入でヒスタミンの遊離が誘発されるために生ずる気管支攣縮の可能性が指摘されており、気管支喘息の患者に対する吸入には、フェンタニルの吸入のほうが安全性が高いといわれている。
,緩和医療(2001),3,3,20

#1
【7.28.1】:25
 吸入モルヒネの吸収による全身への薬物動態、および静脈内投与の薬物動態を検討したMasoodらの検討では、吸入モルヒネの最高血中濃度(Cmax)までの時間(Tmax)は10分以内で、経口投与モルヒネのTmaxより短かったと報告している。また、吸入モルヒネによる血中最高濃度(Cmax)は、筋肉内注射の1/6とされている。塩酸モルヒネ10mgの吸入は、塩酸モルヒネ1mgの静注投与に、塩酸モルヒネ2mgの経口投与に相当する。
,緩和医療(2001),3,3,20

#1
【7.28.1】:26
 斉藤らがおこなった呼吸困難を有する末期癌患者20例を対象とした、塩酸モルヒネ5mg吸入療法のpilot studyの成績は、(1)著効は10%で、その緩和率は30%であり、呼吸困難の程度が軽度な症例で有効率が高く、(2)症状改善までの平均時間は10分と短時間であり、(3)有効例の吸入方法の患者選択では、労作前の吸入効果は認められず、患者は労作後に頓用で吸入することを好む傾向があり、(4)副作用発現率はきわめて低いものであった。
,緩和医療(2001),3,3,20

#1
【7.28.1】:27
 Masoodらの慢性閉塞性肺疾患における運動時の息切れに対しての二重盲検試験、Leungらの慢性の肺疾患の患者の労作時の息切れに対しての無作為二重盲検試験、Nosedaらの無作為比較試験では、モルヒネ吸入による呼吸困難緩和効果について、否定的な成績が報告されている。われわれの検討でも、はじめは有効であったが回数を重ねると効果があらわれなくなる症例が存在し、再現性に問題があった。
,緩和医療(2001),3,3,20

#1
【7.28.1】:28
 モルヒネの吸入投与法として、塩酸モルヒネ5mgに生食水を加え、2〜5mLまたは5〜10mLとして吸入する方法が報告されており、米国の報告でも、硫酸モルヒネ5mg(0.5mL)を生食水4.5mLに希釈し吸入している。溶解液として蒸留水および生食水のいずれが適切かについては明らかになっていない。通常、効果は約15分以内に現れ、副作用もほとんど認められない。しかしながら、末期癌患者が呼吸困難を呈してくる時期は終末期であることが多いので、副作用の少ない吸入であっても確実性の高い治療法であるべきであり、今後、さらなる検討が必要といえる。
,「モルヒネによるがん疼痛緩和」改訂版(2001),,,248

#1
【7.28.1】:29
 野村らは、呼吸困難に対するモルヒネ吸入を初期には有効であるとしながらも、病状の進行とともに効果が減弱すると報告しており、角川らは無作為化比較試験を行った結果、モルヒネ全身投与との併用により、呼吸困難感の改善がみられたと報告している。
,「モルヒネによるがん疼痛緩和」改訂版(2001),,,144

#1
【7.28.1】:30
 斎藤らは別の報告で、1回5mgの塩酸モルヒネに生理食塩液を加えて5〜1OmLとし、ネブライサーで霧状にして吸入する方法を標準的に用いていると示している。継続的に使用する際には4時問ごとの吸入を基本とするが、末期癌の呼吸困難は、咳嗽発作時、労作時、粘液による気道閉塞時、不安発作時など、間欠的に起こる場合が多いため、定期的投与よりも必要に応じた間欠的投与の方が理論的であり、実際には頓用で使用することが多いと報告している。
,「モルヒネによるがん疼痛緩和」改訂版(2001),,,144

 
【7.28.1】:31
 呼吸困難に対するモルヒネの吸入投与法として、塩酸モルヒネ5mgに生食水を加え2〜5mLとして、これを吸入する方法が報告されており、米国の報告でも、硫酸モルヒネ5mg(0.5ml)を生食水4.5mLに希釈して吸入している。通常、効果は約15分以内に現れ、副作用もほとんど認められない。ただし、溶解液として蒸留水および生食水のいずれが適切かについては明らかになっていない。
,モルヒネによるがん疼痛緩和(1997),,,229
,「モルヒネによるがん疼痛緩和」改訂版(2001),,,248

#1
【7.28.1】:32
 呼吸困難が解消しない場合、モルヒネネブライザー吸入も効果があるが、安全のため安定化剤や添加剤を使用していない薬剤でなくてはならない。オピオイドのネブライザー吸入は、オピオイドを全身投与されている場合でさえ間質性肺疾患には効果がある。
,フローチャートで学ぶ緩和ケアの実際(1999),,,62

 
【7.28.1】:33
 肺癌あるいは癌末期の肺炎などによる呼吸困難に対してモルヒネはかなり有効であるが、不十分なことがある。このような場合にテオフィリン系薬剤の併用は、相互作用により患者の自覚症状の改善に役立つ。
,臨床と薬物治療(1990),,58,76

#1
【7.28.1】:34
 モルヒネは呼吸面積が減少することによって生じる呼吸困難に有効だと考えている。気道が狭くなって起きる呼吸困難にもある程度有効であるが、多くの場合には、呼吸面積が減少した場合に有効である。
,ドクターサロン(1999),43,4,20

#1
【7.28.1】:35
 末期癌の呼吸不全患者の場合、呼吸困難に駆られ努力して呼吸し、呼吸筋が疲労しているので、モルヒネによって楽になると呼吸が減弱ないし停止してしまうという状況を時々見受ける。この場合、穏やかに最期を迎えるのであればそのまま見守るだけで良いかもしれない。
,誰でもできる緩和医療(1999),,,44

#1
【7.28.1】:36
 適切に使用されたモルヒネは重篤な呼吸抑制を起こさずに呼吸困難感を緩和する。特に、急性肺水腫や急性左室不全に伴う呼吸困難感に用いると劇的に奏効する。
,誰でもできる緩和医療(1999),,,43

     
  【7.28.2】「呼吸困難に対するハイスコ・ブスコパンの使用」
    【7.28.2】:1
 気道内分泌物が非常に増加している呼吸困難の場合、抗コリン作用があり、分泌物生産を抑制するハイスコが有効である。鎮静作用もあり、苦痛緩和になる場合もあるが、全身衰弱が強い患者では意識低下や呼吸.循環抑制があるので慎重に使用する。単独投与の場合は舌下(0.15〜0.25mg、1日1〜4回)を行うが、頻回の投与が必要な場合は持続皮下注入(0.5〜1.5mg/日)を行うとよい。代替薬としてはブスコパン【適応外】20〜60mg/日、持続皮下注入がある。
,緩和ケアマニュアル(ターミナルケアマニュアル第4版)(2001),,,121

#1
【7.28.2】:2
 臭化水素酸スコポラミン(ハイスコ)【適応外】は、死前喘鳴、つまり死亡24〜48時間前にみられる喉でゼロゼロする症状に使われる薬剤だが、痰が多くて気道分泌物のために苦しいという場合、もっと早い時期においても有効である。
 緩和ケア病棟では、痰に対する対処を次の3段階に分けて考えている。第1段階では「自力で出せる」よう援助を行う。たとえばネブライザーやタッピング、去痰剤などを使用し、室内の保湿を図る。第2段階は「自力で出せない状態」で、吸引を併用して痰を取り除く。第3段階では、痰を吸引することもかなり負担になってくる場合、ハイスコを使う。この場合は、いきなり皮下注で始めるのではなく、注射液の舌下から開始する。1アンプルは1mgだが、0.5 mgでも効果があり、体の小さな人は0.3mgぐらいから始めでもよい。1日4〜5回投与し、その後持続皮下注入法を行うようにすると、患者の負担が軽減する。
,ホスピスケアの実際(2000),,,11

#1
【7.28.2】:3
 呼吸困難に対するハイスコの投与量
 臭化水素酸スコポラミン(ハイスコ)【適応外】
  舌下:1回注射剤0.15〜0.25mg(0.3〜0.5mL)、1日1〜4回。 注射剤:O.5〜1.5mg/日、持続皮下注入
,緩和ケアマニュアル(ターミナルケアマニュアル第4版)(2001),,,121

#1
【7.28.2】:4
 呼吸困難に対するブスコパンの投与量
 臭化ブチルスコポラミン(ブスコパン)【適応外】
  注射剤:20〜60mg/日、持続皮下
,緩和ケアマニュアル(ターミナルケアマニュアル第4版)(2001),,,121

#1
【7.28.2】:5
 ハイスコの有効限界は1日あたり5Aとされ、それ以上投与しても効果の増強はみられない。ハイスコの効果は気管および気管支での気道分泌の抑制である。このため肺炎などに伴う喀痰の抑制には効果は見られない。
,誰でもできる緩和医療(1999),,,193
     
  【7.28.3】「呼吸困難に対するステロイドの使用」
    #1
【7.28.3】:1
 ステロイドは抗炎症作用や浮腫改善作用により、中枢気道狭窄、上大静脈症候群、癌性リンパ管症、間質性肺炎などに伴う呼吸困難に有効である。
,誰でもできる緩和医療(1999),,,45

 
【7.28.3】:2
 呼吸困難に対するステロイドの投与法
肺腫瘍の周囲の浮腫や癌性リンパ管症には大量のステロイドが有効である。デカドロンあるいはリンデロンを1日8〜12mg数日間経口投与し、その後1日2〜4mgに減量する。またはリンデロン1〜2mg/日の経口投与や、プレドニン15〜30mg/日などの方法もある。放射線肺炎では、ソルメドロール1gを1日1回点滴静注し、3日間連続するパルス療法が行われている。
,緩和医療学(1997),,,96

#1
【7.28.3】:3
 ベタメタゾン(リンデロン)
  錠剤:1回1〜4mg、1日1回朝または1日2回朝・昼。
  注射剤:1回2〜8mg、1日1〜2回静注または点滴静注。
 コルチコステロイドは癌性リンパ管症、癌性胸膜炎(胸水貯留)、肺炎、気管支炎などの炎症を抑えたり、気管。気管支の狭窄、上大静脈症候群などの腫瘍周辺の浮腫を軽減させたりして呼吸困難を改善させる。また、気管支痙攣や喘息にも有効である。呼吸困難の程度や予後を考慮しながら少量から開始する。
,緩和ケアマニュアル(ターミナルケアマニュアル第4版)(2001),,,120

      参照−【6.2.12】「ステロイド」
     
  【7.28.4】「呼吸困難に対する抗不安薬の使用」
    【7.28.4】:1
 ジアゼパムによる呼吸困難感の軽減
 ジアゼパムは急性、慢性を問わず、呼吸困難感の軽減に有用である。効果発現は、不安感の軽減によるところが大きく、不安感が原因でないような呼吸困難感では効果がないとする意見もある。就寝前5〜10mg程度の経口投与が通常量である。症状軽減が不十分であれば、1回投与量を少なく設定して分割投与したり、症状の軽減が見られるまで繰り返し投与していくこともできる。
,がんの症状マネジメント(1997),,,317

*5
【7.28.4】:2
 呼吸困難感の解消に最近ではジアゼパムを多用している。特に苦しくなりはじめると、それが不安になってパニックの悪循環を形成する。ジアゼパムの注射剤の舌下を行うと5分ぐらいで効果が現れてくる。
,ホスピス・緩和ケア白書(1998),,,25

#1
【7.28.4】:3
 抗不安薬を使うことで呼吸のパターンが胸式呼吸から胸腹式に戻ることもある。北里大学では呼吸困難の患者にジアゼパム(ホリゾン)の注射液を1/2 A 舌下で投与している。この方法では、呼吸困難によるパニック発作の状態が15分くらいで楽になるといわれている。
,ホスピスケアの実際(2000),,,181

*5
【7.28.4】:4
 呼吸困難には死の恐怖を伴っていることが多いので、まず十分な説明をなし、呼吸を整えるよう助ける。ジアゼパム2〜10mgの内服、不眠傾向があればトリアゾラム0.25〜0.5mgをあたえるのもよい。
,ターミナルケア医学(1989),,,178

#1
【7.28.4】:5
 ジアゼパムは急性、慢性を問わず呼吸困難感の軽減に有用である。効果発現は、不安感の軽減によるところが大きく、不安が原因でないような呼吸困難感では効果がないとする意見もあるが、二酸化炭素に対する反応性の変化や、筋弛緩作用によって呼吸筋の過剰な緊張が低下することも関連している。
 ジアゼパム舌下投与については慢性肺疾患患者についての報告がされてきたが、北里大学病院ではジアゼパムの注射剤(ホリゾン注)2.5mgを舌下投与し、16例中10例(62.5%)で著効(楽になった〜苦しくなくなった)を示している。呼吸回数は投与前が42.4±7.5回/分であったが、投与後には29.3±7.6回/分(投与15分後)に減少した。効果発現までは症状の改善が認められた12例で4.9±1.2分(3〜7分)であった。
,わかるできるがんの症状マネジメントU(2001),,,157

 
【7.28.4】:6
 呼吸困難では窒息や死への不安が強く、抗不安薬であるクロキサゾラムなどの投与が有効である。ジアゼパムも有効であるが眠気が強いので注意を要する。
,がんの症状マネジメント(1997),,,232

*5
【7.28.4】:7
 筆者らは呼吸困難の治療の第一選択にクロキサゾラムの1回1〜2mg、1日3回経口投与を選択している。
,最新緩和医療学(1999),,,121

#1
【7.28.4】:8
 ワイパックスの舌下錠0.5〜1mgが、呼吸不安発作の緩和に理想的な薬である。長期投与に有用なのはセルシン5から10mgの就寝時の経口投与である。
,終末期の諸症状からの解放(2000),,,62

*5
【7.28.4】:9
 内服困難な患者に対するドルミカムの少量持続皮下投与法を試みて、有用なことを経験している。患者の呼吸困難の程度が強度であり、生命予後も週単位〜日単位の見通しの場合、モルヒネを併用しながら、ドルミカム持続皮下注法の適応となる。ドルミカムは開始時に2.5〜5mg/回くらい早送りしてから持続皮下注法を始め、1日量10〜20mgを目安に投与する。それにより不安状態が改善されるだけでなく、呼吸困難が改善されることもある。
,ターミナルケア(1999),9,1,25

#1
【7.28.4】:10
 モルヒネをどんどん増やしても、不安の軽減はうまくいかない。また、息苦しいときに、抗不安薬を経口投与するのは困難である。そこで緩和ケア病棟では、ミダゾラム(ドルミカム)の持続皮下注入法を少量から開始してセデーションを行っている。もし患者の不安が呼吸困難感の増悪を招いているなら、ミダゾラムを使用して不安を軽減すれば、症状が改善し、日単位であった患者の病状が週単位に回復することもある。
,ホスピスケアの実際(2000),,,12
     
  【7.28.5】「呼吸困難に関する問題点」
    *5
【7.28.5】:1
 胸水による呼吸困難に以前はトロッカーという太いチューブで胸膜癒着術を行っていたが、患者の負担となるため、柔らかく細い中心静脈用カテーテルを胸腔内に留置し間欠的に1日400〜800ml繰り返し抜く方法をとる場合がある。安全に負担が少なく抜けるし、うまくいけば胸膜癒着術もできるので、呼吸困難の軽減に非常に有効である。
,ホスピス・緩和ケア白書(1998),,,25

*5
【7.28.5】:2
 酸素投与は呼吸困難の改善方法として、今日では一般的に用いられている。しかし、癌の進行に伴って生ずる呼吸困難にたいする酸素投与の有効性は証明されていない。あくまで臨床的な経験に基づいて行われている。
,ターミナルケア(1999),9,1,22

*5
【7.28.5】:3
 呼吸困難に対する酸素吸入は本当に低酸素血症がない限りあまり有効でない。いくらかのプラセボ効果はあるとしてもそれほどの費用をかける値打ちがあるだろうか。
,ターミナル・ケアの症状緩和マニュアル(1998),,,79

*5
【7.28.5】:4
 酸素吸入において、フェイスマスクや酸素テントは近年ほとんど使用されていない。フェイスマスクは患者にとって圧迫感が強く好まれない。また、鼻カニューレによる酸素投与では毎分4〜5リットル以上になると局所の不快感が増すため、患者にとっては負担になる。したがって、漫然と多量の持続的酸素投与を行う前に、その有効性について十分な検討を行うべきである。
,ターミナルケア(1999),9,1,23

 
【7.28.5】:5
 肺癌が進行し気管支を狭窄し、喘鳴が生じる場合がある。β2刺激剤の吸入や吸入ステロイドは一時的には効果が期待できるがやがて無効となる。ステロイドの経口投与も同様である。
,癌患者と対症療法(1995),6,1,32

 
【7.28.5】:6
 癌終末期では、動脈血ガス分析の値が通常なら人工呼吸補助をするような場合であっても、原則として気管内挿管による人工呼吸はしない。これをしても、患者の呼吸困難が改善することがないからである。一時的に血液ガス分析値が改善し、意識レベルが多少向上することはあるが、あくまで一過性のものであるし、意識混濁がようやく患者を苦悩から解放したというのに、再び苦悩を味合わせることになるからである。とは言うものの、予想を超える早さで呼吸状態が悪化したときなど、挿管して人工呼吸をすることもある。しかし、意識レベルが上昇してくると(これ自体一過性である)、人工呼吸器と不同調を来たして患者は激しく苦悶し、これを押さえるために鎮痛薬と抗不安薬の大量を与薬して意識をとってしまうという、矛盾した結果となることがある。結局、患者のためというより、医師と家族のための人工呼吸となってしまう。できれば患者が昏睡に向かって、全体として自然な経過を見せているときは、経過を見守るだけで良いと考えている。
,がん終末期の症状コントロール(1995),,,79
   
 

 

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