| 【7.28】「呼吸困難」 | ||
| #1 【7.28】:1 呼吸困難は癌末期患者のおよそ30〜70%にみられるとされているが、Reubenらは死亡前6週間に70%の患者にみられ、死亡に近づくに従いその頻度が増してくるとし、Meursらは死亡直前に90%近くに達すると報告している。呼吸困難の適切な対応はまずその原因を推定することである。腫瘍による肺、胸腔、胸郭への浸潤が呼吸困難をもたらすことが多いが、この他にも基礎疾患としてCOPDや心疾患にも注意する必要がある。 ,緩和ケアテキスト(2002),,,95 #1 【7.28】:2 呼吸困難は主観的症状であるので、痛みの場合と同様、その評価は患者自身の言葉によりおこなうこと、患者の訴えを信じることが基本である。本人による症状の評価と他者(医療スタッフや家族)による評価を比較検討した研究では、疼痛・倦怠感などにくらべ、とくに呼吸困難において、他者評価でのばらつきが大きく、また、過小評価されやすいことが報告されている。とくに医師は、家族やナースにくらべ、呼吸困難を過小評価しているという結果は注目に値する。症状を評価する際のポイントは、(1)量的評価(どの程度息苦しいか?)、(2)質的評価(どのような息苦しさか?)、(3)インパクト評価(生活にどのような影響を与えているか?)である。 (1)量的評価の目的は、患者が感じている呼吸困難の程度を数字などの量的指標に置き換えることによって、認識を共有することである。評価時点だけでなく、過去24時間以内(または1週間以内など)の最高値・最低値・平均値を、必要に応じて評価する。 ,緩和医療(2001),3,3,10 #1 【7.28】:3 末期癌患者の呼吸困難の対策には、(1)呼吸理学療法を行う、(2)元気づける、(3)顔に冷たい微風をあてる、(4)吸入療法(進行癌の呼吸困難には最も有効):モルヒネ2.5mg+デキサメタゾン2.Omg+O.9%生食2.5 ml、 必要によりモルヒネの投与量を増加(5〜1O mg)、経口・非経ロモルヒネ投与の患者にも有効(吸入モルヒネの15〜2O%が全身に吸入されるが、モルヒネによる呼吸抑制はほとんど起こらない)、(5)酸素投与、(6)胸水の除去、(7)鎮静薬の投与、(8)抗不安薬の投与、などが挙げられる。 ,わかるできるがんの症状マネジメントU(2001),,,169 #1 【7.28】:4 気管支喘息やうっ血性心不全による呼吸困難に対して効果があるとされるフロセミド(ラシックス)の吸入が、癌による呼吸困難に対しても検討されており、呼吸困難が改善したとの報告もある。その報告によると、β刺激剤やテオフィリン製剤の併用を行わず、20mgのフロセミド注射剤を原液のまま単剤で使用し、ネブライザーで霧状にし、症状に関係なく1日4回の定時吸入を行っている。その結果、吸入開始後には強い呼吸困難の発作は認められず、呼吸困難を訴えていない状態(安静時)における呼吸回数は有意に低下したものの、労作時の呼吸困難の改善は認められなかった。 ,「モルヒネによるがん疼痛緩和」改訂版(2001),,,248 #1 【7.28】:5 フロセミド(furosemide)【適応外】の吸入は喘息患者の症状改善に効果があると報告されてきたが、最近の報告ではフロセミドの吸入が肺のイリタント受容器の抑制と肺伸展受容器の興奮を介したメカニズムの関与が示されている。フロセミドの吸入療法は投与量や投与法が確立していないが、著効する場合もあり、適応と投与法について検討中である。 ,わかるできるがんの症状マネジメントU(2001),,,157 #1 【7.28】:6 フロセミドを吸入すると、気管支上皮のNaイオン−Kイオン−2Clイオンの共輸送体が抑制され、受容体周囲の細胞外液にNaイオンとClイオンが増加する。そのため、肺伸展受容体活動の増加と、肺イリタント受容体活動が低下し、呼吸困難が緩和される。また、会話や嚥下に重要な息ごらえ時間を延長するという。使用の際は、フロセミド20mg/Aに生理的食塩水を加え吸入する。副作用はほとんどみられない。癌患者の呼吸困難では十分な検討がなされていないが、期待が持たれている治療法である。 ,がんの在宅医療(2002),,,174 #1 【7.28】:7 北里大学におけるフロセミド吸入の調査では、1日4回、1回20mg(1A)の定期投与を行った。施行された症例では、開始後1日目には呼吸困難感の程度、呼吸回数ともに低下した。また、デカドロンとエピネフン入りのネブライザーでは明らかにフロセミドを効果的と評価した。 ,わかるできるがんの症状マネジメントU(2001),,,157 *5 【7.28】:8 ネブライザー治療希釈液には、気管支収縮を生じるため、滅菌水ではなく、常に注射用生理食塩水を使用する。 ,緩和ケアハンドブック(1999),,,169 *5 【7.28】:9 呼吸困難の薬物療法として、ドルミカム5〜10mg筋注または緩徐に静注。モルヒネ5〜10mgネブライザーまたは静注。ウインタミン25mg経口または筋注。 ,緩和ケアハンドブック(1999),,,169 *5 【7.28】:10 腫瘍による気管支閉塞による呼吸困難には放射線療法(症例の90%まで呼吸困難を改善する)やステロイドの経口。扁平上皮癌による肺実質の占拠にはエトポシドによる化学療法を行う。 ,緩和ケアハンドブック(1999),,,169 #1 【7.28】:11 末期癌患者の呼吸困難の対策としての口すぼめ呼吸 最も楽な体位をとらせたら、吸入療法や高濃度の酸素吸入を併用しながら口すぼめ呼吸をしてもらう。口すぼめ呼吸は口をすぼめて、{f}あるいは{s}という音をさせながら息を吐き、吸気と呼気の比は1:3〜5程度、呼吸数10回/分程度を目標にしてゆっくり吐かせる。 ,わかるできるがんの症状マネジメントU(2001),,,170 #1 【7.28】:12 緩和困難な呼吸困難がみられたら鎮静を必要とする場合がある。呼吸困難感に対して鎮静を始める時期については、緩和ケア病棟では次のような条件を設定している。 (1)モルヒネ、ステロイド、抗不安薬などを併用して、可能な限り呼吸困難の緩和を図り、ハイスコなども使用して痰に対する対処をしている。 (2)残された時間が週単位から日単位で、モルヒネによる効果が限界にきている。 (3)患者または家族の了解を得ている。 呼吸困難に対するセデーションは、まず浅いセデーションから始める必要がある。これは、患者の不安が非常に強まり、さらに呼吸筋が緊張のため疲労している場合、それにより呼吸困難が悪化していることがあるからである。このような場合には、抗不安薬を使うことで、かなり軽減されることがある。 ,ホスピスケアの実際(2000),,,12 #1 【7.28】:13 患者の依頼と家族の同意がある場合は、鎮静も選択肢の一つになり得る。十分量のオピオイドがベースに使用されている場合、ドルミカムは、初回は0.5〜1.0 mgを静注しては1分間様子を見るという方法で、入眠するまで追加していく。2〜3mgで入眠することが多い。以後、睡眠を維持するには0.04 mg/kg/hr(1日5A)の注入速度が標準的注入量であるが、個人差が大きいので、鎮静状況を観察しながら増減することになる。 ,がん終末期・難治性神経筋疾患進行期の症状コントロール(2000),,,110 #1 【7.28】:14 最近、肺癌や食道癌の治療のために縦隔への放射線治療が増えてきているが、縦隔へ放射線をあてて、気管粘膜の繊毛が破壊されたような場合には、痰は途中まで上がってくるが、すべり落ちてしまう。したがって、痰を出そうとしても出せずに非常に苦痛を伴う。予後が月単位で、ある程度体力がある人なら、自力で痰を出すことができるが、週単位の見通しの場合、自力で出すことが困難なときがある。喀痰がひっかかって苦しいときには、ハイスコを舌下で使うようにしたほうがよいと思われる。 ,ホスピスケアの実際(2000),,,180 #1 【7.28】:15 気道狭窄については、最近「エクスパンダブル・メタリック・ステント]という「金属性ステント」が開発され、緩和ケア病棟でも使用経験がある。症例によっては有効な場合もあるが、適応のある症例はそれほど多くない。すべての気道狭窄に勧められる方法とはいえない。気道狭窄はやはりモルヒネとコルチコステロイドを使う必要がある。また、ゼロゼロと痰が上がってくるのに出し切れないような喀痰貯留に対しては、臭化水素スコポラミン(ハイスコ)の1/2Aの舌下投与がかなり有効。 ,ホスピスケアの実際(2000),,,180 |
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| 【7.28.1】「呼吸困難に対するモルヒネの使用」 | ||
#1 |
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| 【7.28.2】「呼吸困難に対するハイスコ・ブスコパンの使用」 | ||
| 【7.28.2】:1 気道内分泌物が非常に増加している呼吸困難の場合、抗コリン作用があり、分泌物生産を抑制するハイスコが有効である。鎮静作用もあり、苦痛緩和になる場合もあるが、全身衰弱が強い患者では意識低下や呼吸.循環抑制があるので慎重に使用する。単独投与の場合は舌下(0.15〜0.25mg、1日1〜4回)を行うが、頻回の投与が必要な場合は持続皮下注入(0.5〜1.5mg/日)を行うとよい。代替薬としてはブスコパン【適応外】20〜60mg/日、持続皮下注入がある。 ,緩和ケアマニュアル(ターミナルケアマニュアル第4版)(2001),,,121 #1 【7.28.2】:2 臭化水素酸スコポラミン(ハイスコ)【適応外】は、死前喘鳴、つまり死亡24〜48時間前にみられる喉でゼロゼロする症状に使われる薬剤だが、痰が多くて気道分泌物のために苦しいという場合、もっと早い時期においても有効である。 緩和ケア病棟では、痰に対する対処を次の3段階に分けて考えている。第1段階では「自力で出せる」よう援助を行う。たとえばネブライザーやタッピング、去痰剤などを使用し、室内の保湿を図る。第2段階は「自力で出せない状態」で、吸引を併用して痰を取り除く。第3段階では、痰を吸引することもかなり負担になってくる場合、ハイスコを使う。この場合は、いきなり皮下注で始めるのではなく、注射液の舌下から開始する。1アンプルは1mgだが、0.5 mgでも効果があり、体の小さな人は0.3mgぐらいから始めでもよい。1日4〜5回投与し、その後持続皮下注入法を行うようにすると、患者の負担が軽減する。 ,ホスピスケアの実際(2000),,,11 #1 【7.28.2】:3 呼吸困難に対するハイスコの投与量 臭化水素酸スコポラミン(ハイスコ)【適応外】 舌下:1回注射剤0.15〜0.25mg(0.3〜0.5mL)、1日1〜4回。 注射剤:O.5〜1.5mg/日、持続皮下注入 ,緩和ケアマニュアル(ターミナルケアマニュアル第4版)(2001),,,121 #1 【7.28.2】:4 呼吸困難に対するブスコパンの投与量 臭化ブチルスコポラミン(ブスコパン)【適応外】 注射剤:20〜60mg/日、持続皮下 ,緩和ケアマニュアル(ターミナルケアマニュアル第4版)(2001),,,121 #1 【7.28.2】:5 ハイスコの有効限界は1日あたり5Aとされ、それ以上投与しても効果の増強はみられない。ハイスコの効果は気管および気管支での気道分泌の抑制である。このため肺炎などに伴う喀痰の抑制には効果は見られない。 ,誰でもできる緩和医療(1999),,,193 |
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| 【7.28.3】「呼吸困難に対するステロイドの使用」 | ||
| #1 【7.28.3】:1 ステロイドは抗炎症作用や浮腫改善作用により、中枢気道狭窄、上大静脈症候群、癌性リンパ管症、間質性肺炎などに伴う呼吸困難に有効である。 ,誰でもできる緩和医療(1999),,,45 【7.28.3】:2 呼吸困難に対するステロイドの投与法 肺腫瘍の周囲の浮腫や癌性リンパ管症には大量のステロイドが有効である。デカドロンあるいはリンデロンを1日8〜12mg数日間経口投与し、その後1日2〜4mgに減量する。またはリンデロン1〜2mg/日の経口投与や、プレドニン15〜30mg/日などの方法もある。放射線肺炎では、ソルメドロール1gを1日1回点滴静注し、3日間連続するパルス療法が行われている。 ,緩和医療学(1997),,,96 #1 【7.28.3】:3 ベタメタゾン(リンデロン) 錠剤:1回1〜4mg、1日1回朝または1日2回朝・昼。 注射剤:1回2〜8mg、1日1〜2回静注または点滴静注。 コルチコステロイドは癌性リンパ管症、癌性胸膜炎(胸水貯留)、肺炎、気管支炎などの炎症を抑えたり、気管。気管支の狭窄、上大静脈症候群などの腫瘍周辺の浮腫を軽減させたりして呼吸困難を改善させる。また、気管支痙攣や喘息にも有効である。呼吸困難の程度や予後を考慮しながら少量から開始する。 ,緩和ケアマニュアル(ターミナルケアマニュアル第4版)(2001),,,120 参照−【6.2.12】「ステロイド」 |
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| 【7.28.4】「呼吸困難に対する抗不安薬の使用」 | ||
| 【7.28.4】:1 ジアゼパムによる呼吸困難感の軽減 ジアゼパムは急性、慢性を問わず、呼吸困難感の軽減に有用である。効果発現は、不安感の軽減によるところが大きく、不安感が原因でないような呼吸困難感では効果がないとする意見もある。就寝前5〜10mg程度の経口投与が通常量である。症状軽減が不十分であれば、1回投与量を少なく設定して分割投与したり、症状の軽減が見られるまで繰り返し投与していくこともできる。 ,がんの症状マネジメント(1997),,,317 *5 【7.28.4】:2 呼吸困難感の解消に最近ではジアゼパムを多用している。特に苦しくなりはじめると、それが不安になってパニックの悪循環を形成する。ジアゼパムの注射剤の舌下を行うと5分ぐらいで効果が現れてくる。 ,ホスピス・緩和ケア白書(1998),,,25 #1 【7.28.4】:3 抗不安薬を使うことで呼吸のパターンが胸式呼吸から胸腹式に戻ることもある。北里大学では呼吸困難の患者にジアゼパム(ホリゾン)の注射液を1/2 A 舌下で投与している。この方法では、呼吸困難によるパニック発作の状態が15分くらいで楽になるといわれている。 ,ホスピスケアの実際(2000),,,181 *5 【7.28.4】:4 呼吸困難には死の恐怖を伴っていることが多いので、まず十分な説明をなし、呼吸を整えるよう助ける。ジアゼパム2〜10mgの内服、不眠傾向があればトリアゾラム0.25〜0.5mgをあたえるのもよい。 ,ターミナルケア医学(1989),,,178 #1 【7.28.4】:5 ジアゼパムは急性、慢性を問わず呼吸困難感の軽減に有用である。効果発現は、不安感の軽減によるところが大きく、不安が原因でないような呼吸困難感では効果がないとする意見もあるが、二酸化炭素に対する反応性の変化や、筋弛緩作用によって呼吸筋の過剰な緊張が低下することも関連している。 ジアゼパム舌下投与については慢性肺疾患患者についての報告がされてきたが、北里大学病院ではジアゼパムの注射剤(ホリゾン注)2.5mgを舌下投与し、16例中10例(62.5%)で著効(楽になった〜苦しくなくなった)を示している。呼吸回数は投与前が42.4±7.5回/分であったが、投与後には29.3±7.6回/分(投与15分後)に減少した。効果発現までは症状の改善が認められた12例で4.9±1.2分(3〜7分)であった。 ,わかるできるがんの症状マネジメントU(2001),,,157 【7.28.4】:6 呼吸困難では窒息や死への不安が強く、抗不安薬であるクロキサゾラムなどの投与が有効である。ジアゼパムも有効であるが眠気が強いので注意を要する。 ,がんの症状マネジメント(1997),,,232 *5 【7.28.4】:7 筆者らは呼吸困難の治療の第一選択にクロキサゾラムの1回1〜2mg、1日3回経口投与を選択している。 ,最新緩和医療学(1999),,,121 #1 【7.28.4】:8 ワイパックスの舌下錠0.5〜1mgが、呼吸不安発作の緩和に理想的な薬である。長期投与に有用なのはセルシン5から10mgの就寝時の経口投与である。 ,終末期の諸症状からの解放(2000),,,62 *5 【7.28.4】:9 内服困難な患者に対するドルミカムの少量持続皮下投与法を試みて、有用なことを経験している。患者の呼吸困難の程度が強度であり、生命予後も週単位〜日単位の見通しの場合、モルヒネを併用しながら、ドルミカム持続皮下注法の適応となる。ドルミカムは開始時に2.5〜5mg/回くらい早送りしてから持続皮下注法を始め、1日量10〜20mgを目安に投与する。それにより不安状態が改善されるだけでなく、呼吸困難が改善されることもある。 ,ターミナルケア(1999),9,1,25 #1 【7.28.4】:10 モルヒネをどんどん増やしても、不安の軽減はうまくいかない。また、息苦しいときに、抗不安薬を経口投与するのは困難である。そこで緩和ケア病棟では、ミダゾラム(ドルミカム)の持続皮下注入法を少量から開始してセデーションを行っている。もし患者の不安が呼吸困難感の増悪を招いているなら、ミダゾラムを使用して不安を軽減すれば、症状が改善し、日単位であった患者の病状が週単位に回復することもある。 ,ホスピスケアの実際(2000),,,12 |
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| 【7.28.5】「呼吸困難に関する問題点」 | ||
| *5 【7.28.5】:1 胸水による呼吸困難に以前はトロッカーという太いチューブで胸膜癒着術を行っていたが、患者の負担となるため、柔らかく細い中心静脈用カテーテルを胸腔内に留置し間欠的に1日400〜800ml繰り返し抜く方法をとる場合がある。安全に負担が少なく抜けるし、うまくいけば胸膜癒着術もできるので、呼吸困難の軽減に非常に有効である。 ,ホスピス・緩和ケア白書(1998),,,25 *5 【7.28.5】:2 酸素投与は呼吸困難の改善方法として、今日では一般的に用いられている。しかし、癌の進行に伴って生ずる呼吸困難にたいする酸素投与の有効性は証明されていない。あくまで臨床的な経験に基づいて行われている。 ,ターミナルケア(1999),9,1,22 *5 【7.28.5】:3 呼吸困難に対する酸素吸入は本当に低酸素血症がない限りあまり有効でない。いくらかのプラセボ効果はあるとしてもそれほどの費用をかける値打ちがあるだろうか。 ,ターミナル・ケアの症状緩和マニュアル(1998),,,79 *5 【7.28.5】:4 酸素吸入において、フェイスマスクや酸素テントは近年ほとんど使用されていない。フェイスマスクは患者にとって圧迫感が強く好まれない。また、鼻カニューレによる酸素投与では毎分4〜5リットル以上になると局所の不快感が増すため、患者にとっては負担になる。したがって、漫然と多量の持続的酸素投与を行う前に、その有効性について十分な検討を行うべきである。 ,ターミナルケア(1999),9,1,23 【7.28.5】:5 肺癌が進行し気管支を狭窄し、喘鳴が生じる場合がある。β2刺激剤の吸入や吸入ステロイドは一時的には効果が期待できるがやがて無効となる。ステロイドの経口投与も同様である。 ,癌患者と対症療法(1995),6,1,32 【7.28.5】:6 癌終末期では、動脈血ガス分析の値が通常なら人工呼吸補助をするような場合であっても、原則として気管内挿管による人工呼吸はしない。これをしても、患者の呼吸困難が改善することがないからである。一時的に血液ガス分析値が改善し、意識レベルが多少向上することはあるが、あくまで一過性のものであるし、意識混濁がようやく患者を苦悩から解放したというのに、再び苦悩を味合わせることになるからである。とは言うものの、予想を超える早さで呼吸状態が悪化したときなど、挿管して人工呼吸をすることもある。しかし、意識レベルが上昇してくると(これ自体一過性である)、人工呼吸器と不同調を来たして患者は激しく苦悶し、これを押さえるために鎮痛薬と抗不安薬の大量を与薬して意識をとってしまうという、矛盾した結果となることがある。結局、患者のためというより、医師と家族のための人工呼吸となってしまう。できれば患者が昏睡に向かって、全体として自然な経過を見せているときは、経過を見守るだけで良いと考えている。 ,がん終末期の症状コントロール(1995),,,79 |
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