| 【7.9】「嘔気・嘔吐」 | |
| #1 【7.9】:1 持続的な嘔気は患者にとって耐え難いが、ほとんどがコントロールが可能である。まず嘔吐と嘔気を除去することが第一の目標だが、第二の目標は1日1〜3回程度に嘔吐を減らすことである。嘔吐が時々あっても嘔気が持続することよりはましだと患者は考えることが多い。抗ヒスタミン作用のある制吐薬を用い、嘔気が続くようであればさらにセレネース【適応外】を用いる。抗ヒスタミン薬の代わりに抗コリン薬を試みるか、サンドスタチンを使うことを検討する。 ,フローチャートで学ぶ緩和ケアの実際(1999),,,35 #1 【7.9】:2 各制吐剤の特徴と投与量 ・(ノバミン)【適応外】 錠剤1回5mg、1日3〜4回。 モルヒネ使用時の嘔気予防、他の薬剤性や代謝異常の制吐に有効である。眠気や抗コリン作用の副作用はほとんどない。 ・(セレネース)【適応外】 液剤1回0.5mg、1日3〜4回。 錠剤1回0.75〜1.5mg、就寝前。 注射 2.5〜5mg/日、持続皮下注または持続点滴静注。 CTZを非常に強力に抑制し、フェノチアジン系薬剤より心血管系の副作用が少ない。少量の場合、副作用としての錐体外路症状が出現することは稀である。 ・(ピーゼットシー)【適応外】 錠剤1回2〜4mg、1日3回。 フェノチアジン系。制吐作用もより強力であるが、鎮静作用も強い。少量から様子を見ながら投与する。 ・(プリンペラン) 内服1回10〜20mg、毎食前と就寝前。 注射60〜180mg/日の持続皮下注か持続点滴静注。 末梢性(消化管)および中枢性(CTZ)の制吐作用がある。肝腫大、腹水、腹部腫瘍、癌性腹膜炎などによる胃内容停滞のときに有効である。高度の消化管閉塞の場合は疝痛を誘発する恐れがあるので注意する。 ・(ナウゼリン) 錠剤1回10〜20mg、毎食前と就寝前。 坐剤1回30〜60mg、1日2〜3回。 上部消化管とCTZに作用し、抗ドパミン作用にて効果発現する。脳血液関門は通過しにくいため、錐体外路症状は出現しない。 ・(ハイスコ)【適応外】 注射液の舌下投与、1回0.15〜0.25mg、1日3〜4回。 持続皮下注 0.5〜2mg/日。 抗コリン作用を有し、前庭神経や嘔吐中枢に直接作用して制吐作用をもたらす。消化管閉塞のときの嘔気や疝痛に有効である。特に”唾液の上がる感じ”や”生水の上がる感じ”、”からえずき”のときに効果的である。また、唾液、腸液の分泌を減少させる。 副作用がかなりあり少量から慎重に投与。 ,緩和ケアマニュアル(ターミナルケアマニュアル第4版)(2001),,,89 #1 【7.9】:3 抗ヒスタミン薬は、内耳迷路と嘔吐中枢に選択的に作用する。動揺病(乗物酔い)やメニエル症候群に有効である。副作用として眠気、頭重感、全身倦怠感などがある。ノバミン、セレネース、プリンペラン等をまず試みて、効果が不十分の場合に抗ヒスタミン薬を考慮する。プロメタジンは、中枢神経抑制作用、鎮静作用、抗コリン作用が強いので、少量から開始する。 ,緩和ケアマニュアル(ターミナルケアマニュアル第4版)(2001),,,90 #1 【7.9】:4 体動時の吐き気・嘔吐に対応するための外用剤が日本にはない。院内製剤で対応できる施設は以下の処方を参考にされたい。 ●処方 ロラゼパム(l210mg) 塩酸ジフェンヒドラミン(15.13g) ハロペリドール(2420mg) プロピレングリコール(135mg) PEG400(600mg) PEG600(550mg) PEG8000(700g) 以上、坐剤として1100個分。 ロラゼパム(ワイパックス)は予測性の嘔吐、塩酸ジフェンヒドラミンは体動時の嘔吐、ハロペリドール(セレネース)はCTZ刺激による嘔吐を緩和する目的で配合した製剤である。この製剤はMD Anderson Cancer Centerの処方であり、モルヒネ以外にも抗癌剤の吐き気・嘔吐にも有用である。ただし、日本人向けに用量を変更する必要がある。 ,「モルヒネによるがん疼痛緩和」改訂版(2001),,,273 #1 【7.9】:5 コルチコステロイドは抗癌剤による嘔吐(特に遅発性嘔吐)に対して有効であることが認められている。作用機序は、アラキドン酸の遊離抑制、酵素誘導によるセロトニン量の減少、催吐物質の血液脳関門通過の抑制などが考えられるが、詳細は不明である。脳浮腫(頭蓋内圧亢進症)や腫瘍による消化管閉塞の解除に有効なことがある。 ,緩和ケアマニュアル(ターミナルケアマニュアル第4版)(2001),,,91 【7.9】:6 悪心・嘔吐に対するプリンペランの使用は、肝腫大、腹水、腹部腫瘍、癌性腹膜炎などによる胃内容停滞の時に有効である。高度の消化管閉塞の場合は、疝痛や穿孔を誘発する恐れがあるので注意する。 ,ターミナルケアマニュアル第3版(1997),,,85 ,緩和ケアマニュアル(ターミナルケアマニュアル第4版)(2001),,,90 【7.9】:7 経口の抗癌剤やホルモン剤が嘔気の原因と考えられたら一度中止してモルヒネのコントロールを優先すべきである。過去の化学療法で嘔気が強く出現した患者さんは、嘔気に対する不安も強く、モルヒネを始めるときは予防的に制吐剤を併用した方がよい。 ,ターミナルケア(1995),7,1,7 *5 【7.9】:8 ターミナルケアにおける悪心と嘔吐の治療には単剤の増量で、過鎮静を招くより、違った種類の薬剤を組み合わせて使うこと。たとえば、セレネースとポララミンなど。 ,ターミナル・ケアの症状緩和マニュアル(1998),,,54 #1 【7.9】:9 ゾフランとカイトリルは化学療法による嘔吐と腹部への放射線照射に続く嘔吐には効果があることが証明されているが、セレネースやナウゼリンなどの治療で効果を上げられなかった嘔気、嘔吐に対しては、さほどの効果がないことは分かっている。また、複合させて投与した場合に効果が上がるかどうかは分かっていない。進行疾患に単独で使用した場合、高価な割に効果が少ないことから緩和ケアにおける評価は定まっていない。 ,フローチャートで学ぶ緩和ケアの実際(1999),,,20 #1 【7.9】:10 胃内容物のうっ滞の患者には、ガスコンが効く。これは消泡薬として作用し、胃内部の空気を吐き出させる働きをする。ステロイドを大量投与すると、腫瘍周囲の浮腫が小さくなるので、胃の排出障害の場合は内腔を広げ、腫瘍や肝臓肥大によるスクワッシュ、ストマック症候群の場合は腫瘍や肝腫張による圧迫を弱めることができる。 ,フローチャートで学ぶ緩和ケアの実際(1999),,,20 |
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